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“0円販売”で食品ロス抑止 月額会員制のECサイトがクラウドファンディング開始

» 2021年05月24日 10時00分 公開
[荒岡瑛一郎ITmedia]

 経営コンサルティングなどを手掛けるSTRK(滋賀県東近江市)は5月24日、賞味期限の近い食品などを市価の6〜10割引きで販売する月額会員制のECサイト「トクポチ」を発表した。まずは資金を募るクラウドファンディングを同日にスタート。8月1日にサービスを始める予定。商品は食品卸会社の在庫などから調達し、食品ロスの削減につなげるという。

 サイトでは、レトルト食品や菓子類、サプリメント、調味料などを販売する。まずは市価の6割引きで発売し、1週間後には7割引き、2週間後には8割引き、4週間後には10割引き(0円)というように、賞味期限が近づくにつれて割引率を上げる。

 会費は一般会員が月額130円、販売価格からさらに2割引きとなる「プレミアム会員」が月額330円。支払い方法はクレジットカード決済など。送料はユーザーが負担する。

トクポチの商品料金の仕組み

 商品が売れた場合、クレジットカード会社などに支払う決済手数料を差し引いた全額を食品卸会社などの仕入れ先に支払う。STRKは仕入れ先からマージンを取らず、ユーザーの会費から収入を得るため、0円での販売が可能という。売れ残った商品の廃棄もSTRKが行う。

 すでに一部上場の食品卸会社などの協力を取り付けているという。同社は「賞味期限が近い商品でも販売できるため、仕入れ先の企業は商品の廃棄に掛かるコストを抑えられる」としている。

トクポチのビジネスモデル

 STRKによれば、食品卸では在庫が滞留するリスクを危険視し、小規模な小売店との取引を控える企業もあるという。トクポチを使えば賞味期限が近い食品も販売できるため、在庫が滞留しにくくなり、これまで取引をしていなかった企業にも食品を卸せるようになるとしている。

 サービス開始後は食品に加えて衣料品の販売を検討する他、スマートフォンアプリも開発し、3〜4年後までに会員数1000万人を目指す。

 消費者庁の調査によると、日本では年間約646万トン(2015年の推計)のフードロスが発生しており、廃棄量の削減が急務という。同社の佐藤隆史朗代表取締役は「フードロスの削減をボランティアに頼るのではなく、低価格というメリットを提供して販売し、会員数を増やすことで問題の解決につなげる」としている。

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