さいたま新都心で実験されているさまざまなモビリティをデザイナーの立場から体験し、その使い勝手をレポートする企画。前回の小型EVに続き、今回はピザやハンバーガー、お弁当などのフードデリバリーでおなじみの、3輪スクーターのモビリティシェアリングについてレポートする。
その前に、トヨタが6年前の2015年に東京都内で行っていた小型三輪EVの実証実験について触れておきたい。筆者もこの実験に参加して何度かドライブする経験をした。
「i-ROAD」という名称を与えられたこのEVは、後輪1輪がフォークリフトのように車軸ごと回転し、前2輪がスイングするという革新的なものだったが、公道に出るまでに講習とトレーニングを必要とした。
実証実験が終了した後、この車両が日本国内でのシェアリングモビリティとして実現することはなかった。トヨタ自動車の公式YouTubeチャンネルではオリンピック/パラリンピックに向けて期待されるモビリティとしてアピールされていた。
あれから6年。
今回取り上げるサービスでシェアリングされる三輪スクーターのベースはホンダの「ジャイロキャノピー」が採用されており、技術的には完成度の高い、いい意味で「枯れた」乗り物だ。
EVではなく、ガソリンを使用する4サイクル単気筒の内燃機関は「スーパーカブ」同様、日本全国どこでも整備・修理ができる。東京都内でも代々木上原や日比谷などにステーションがあり、返却スペースに空きさえあれば、下目黒のステーションで借りて浦和美園のステーションに返却することも可能だ。
ホンダは法人向けに「ジャイロe」というEVの三輪スクーターも販売している。この車体をベースにしなかったのは、EVとしての航続距離がそれほど長くないこと、キャノピー+リアボックスの実装が間に合わなかったことなど、諸事情を検討した上でジャイロキャノピーが採用されたのだと推測する。
ただ、それほど遠くない先にホンダ自身がEVの新型三輪スクーターをリリースし、このサービスに投入される日が来るような気がする。
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