報道ベンチャーのJX通信社は7月27日、新型コロナワクチンの接種を希望する住民への接種について、11月までに完了すると回答した自治体が約8割に上ったとする調査結果を発表した。4月に行った前回調査では「年内には終わらない」と回答した自治体が約半数を占めていた。
同社は6月下旬から7月下旬にかけて全1741自治体に調査し、670自治体から回答を得た。「接種を10〜11月に終えられるか」という設問に対し、約80%が「終えられる」と回答。「終えられない」と答えた割合は17%だった。具体的な完了時期の見通しについては、11月が34%で最多。10月(25%)、9月(17%)と続いた。「12月」と回答した自治体も10%あった。
町村などの小さな自治体や、政令指定都市などの大規模な自治体では「11月までに完了」と回答する割合が大きく、人口10万人前後の中規模な自治体では12月以降の完了を想定する割合が他よりも大きかった。
「小規模で小回りの効く自治体、医療資源などが充実しワクチンが優先的に配分される大規模自治体ではワクチン接種を加速することができているのに対し、中規模自治体ではいわば『中途半端』な立場に置かれ、接種機会の確保が難しいところも出てきている」(JX通信社)
一方、8月以降のワクチンの供給不足への懸念や、ワクチン接種を担当する河野太郎行政規制改革担当相に「接種ペースを無理やり加速させられた」といった不満の声も出た。
調査では業務を担当する自治体職員の負担は増加していることも分かった。約9割の自治体が「現場の負担が増加している」とし、具体的な負担としては約300の自治体が「担当職員の半数以上が月80時間超の残業をしている」と回答。休職者や離職者が出た自治体も約30あるという。がん検診の集団検診の中止など他の住民サービスにも支障が出ているとした自治体も約250に上った。
その他、調査では政府が優先的に接種を勧めた65歳以上の高齢者や医療従事者以外にも、教職員や高校3年生など受験を控えた生徒など独自の優先接種枠を設ける自治体が6割に上ることも分かった。
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