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グローブなしで触覚を再現する「Touch&Fold」、非使用時は爪側にくるりと収納 シカゴ大学が開発Innovative Tech(1/3 ページ)

» 2021年08月12日 11時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 米シカゴ大学の研究チームが開発した「Touch&Fold」は、通常は爪の部分に収納しているが、バーチャルオブジェクトに触ったら指の腹へ回ってきて触った感覚をもたらすデバイスだ。

 使用していないときは指の腹でリアル世界の作業ができる。圧力だけでなく、振動によって質感も再現する。

photo 実世界の作業を邪魔せず、必要なときにだけ指に触覚を生成するデバイス
photo (左)通常は実世界の物に触れられるように指の腹が見えている状態(右)バーチャルオブジェクトに触れる際は爪の部分に収納された機器が指の腹まで回転し触覚が得られる

 バーチャルオブジェクトに実際の指で触れた際の感触を再現するデバイスはこれまでにも多数報告されてきた。指に触覚を与える例としては、ソフトアクチュエーターや電極を指の腹に接触させる手法が挙げられる。しかしこれらの方法では指の腹を覆う形になり、日常生活で頻繁に使用する指が使えなくなる。

 解決策として爪の上に振動アクチュエーターを装着して触覚を再現する手法が報告されているが、接触による圧力が発生しないため圧覚フィードバックが生成できないという欠点を持つ。今回はこの課題に取り組むため、収納可能な指用触覚デバイスを考案した。

 このデバイスは、触覚を提示したい時だけ指の腹に移動し、使用しない時は爪の上に収納する仕組みだ。これによって、日常の指を使った作業に支障をきたさず必要なときにのみ触覚を提供できる。

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