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音楽番組の“民主化”をかなえてくれたSpotify「Music + Talk」 で、Appleはどう出る?(2/3 ページ)

» 2021年08月23日 11時33分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

Apple MusicのAPI利用規約に阻まれ断念

 それから時はめぐり、2015年にApple Musicが始まった。iPhone、iPad向けにビンテージ鍵盤楽器アプリを開発している筆者がApple Music関連のAPIを調査したところ、サードパーティー製アプリに対し楽曲をストリーミングする機能があることを知った。これを利用して、トークと楽曲を交互に再生するアプリを作れば、誰でも音楽番組が作れると狂喜した。それを一般公開すれば、みんなにも喜んでもらえるはずだ。

 しかし、それはぬか喜びに終わった。APIの利用規約に「Apple Musicを利用した収益化はまかりならぬ」といった文言がしっかり記載されていたからだ。アプリで大もうけしようとは思わないが、作るからには幾ばくかの収益があるほうが張り合いが出る。

 トークコンテンツを配信するためのサーバインフラも準備しなければならないので、経費くらいは捻出したいというのもある。

photo 「App Store Review Guidelines」の「4.5.2 Apple Music」には、「あなたのアプリは、支払いを要求したり、Apple Musicサービスへのアクセスを間接的に収益化したりすることはできません(例:アプリ内課金、広告、ユーザー情報の要求など)」と記載されている

 意気消沈していると、2016年にSpotifyが日本でも始まった。そこで考えたのが、録音したトーク部分だけを正式ルートで配信し、トークと音楽を交互に配置したプレイリストを作成するという方法だ。幸い、音楽制作業を営み、レーベルを運営する筆者であれば、小規模音楽レーベルの版権処理をしてくれるアグリゲーターを通じてSpotifyに音源を出すことができる。

 ただ、自分でラジオDJ風に録音したトークを正式な音楽配信ルートに乗せるのは、ためらいがあった。私的コンテンツの配信を依頼したせいで、iTunes Music Storeが開始されたころから良好な関係を築いてきたアグリゲーターから嫌われるのも困る。

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