コロナ第5波もなかなか終息の兆しが見えないが、ワクチン接種の段取りもなんだか後手後手に回っていて、ワクチンには余裕があると言いつつも実際には予約も取れないという、妙なことになっている。東京では予約不要のワクチン接種会場に長蛇の列ができるなど、若者がワクチン接種を拒んでいるという話でもないように思う。
リモートワークもかなり長期化しており、ほとんど出勤がなくなっているという人もいることだろう。筆者もメーカーの人にリモート取材や打ち合わせなどする機会も多いが、ほとんどの人が自宅からの出席だ。Zoomや電話での打ち合わせでは、開始が午後6時といったリクエストも来るようになり、働く時間がかなり自由になっている。
そんな生活の中で、テレビ視聴にはどのような変化があるのだろうか。
この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年8月30日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから。さらにコンテンツを追加したnote版『小寺・西田のコラムビュッフェ』(月額980円・税込)もスタート。
インテージは、ネットに繋がるスマートテレビを対象に視聴ログを収集しており、2020年と2021年の比較データを公開している。
調査期間が2021年5月までなので、今回の第5波のデータがないのだが、第4波までの相関関係は分かる。これによれば、やはり感染者数が増えれば視聴時間が増えるという関係になるようだ。
感染者数増加の関心は高く、傾向をいち早く報道で知ろうとするアクションが起きて当然だろう。第1波の時にはテレビもかなりセンセーショナルに報じており、高視聴をキープしている期間が長い。
続いて第2波の際には、だんだん視聴者も慣れてきたのか、多少の増加傾向にとどまっている。それどころか、巣ごもり需要といわれた2020年秋ごろに、テレビ離れが加速している。家にいるからといって、単純にテレビを見るようにはなっていないということだ。
一方第3波の際には、実際に感染者数が増加する前に視聴増加のピークがある。ここはそもそも年末年始ゆえに視聴率が高まる時期なのだが、実際に感染者が増えている時期の視聴は伸びておらず、感染者増のニュースにあまり食い付かなくなったという傾向が見て取れる。
さらにこの頃から、いたずらに「過去最高」を連発する報道はどうなのか、という疑問が呈されてきた。確かに感染者数は爆増したが、水曜日としては過去最高とか、なんとしても過去最高と言いたいだけみたいな報道が相次いだ。
一方で、スマートテレビ内のアプリ利用も調査している。アプリ視聴とはすなわち、NetflixやAmazon Prime Video、YouTubeといったVODサービスの利用率と考えることができる。
この調査では、第1波の終息後にアプリ視聴の需要が喚起され、以降好調に伸びているのが分かる。第3波のタイミングは年末年始であり、ここだけはテレビ視聴が強かった。しかし巣ごもりが長期化するにつれて伸びたのはテレビ視聴ではなく、VOD視聴である。リアルタイムで付き合う必要があるテレビより、いつでも始められて中断できるVODコンテンツの方が都合が良かったのだろう。
テレビアプリの接触率を見てみると、2020年よりは2021年の方が増えているが、数字で見るとせいぜい8%とか10%程度であり、テレビ接触率の50%からすればまだ全然である。
興味深いのは、テレビの接触時間は朝に大きなピークがある点がいつまでも変わらないことである。これはリモートワークになっても、子どもがいる家庭では学校の時間が変わらないため、朝の習慣に変化がないということかもしれない。
いわゆるゴールデンタイムの接触率は、山の始まりが19時台にシフトしている。これはやはりリモートワークによって通勤時間がなくなり、飲食店も時短営業している影響と考えられる
昼の時間の接触率もだいぶ上がっているが、これはお昼時、食事しながらテレビを見るという習慣が強くなってきたということでもある。筆者も経験があるが、誰もいない家の中で1人でモソモソ飯を食うより、賑やかなテレビでもつけていた方が寂しくないということかもしれない。
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