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ノブも回せる、電化製品をIoT化するスイッチ「IoTIZER」 KAISTなどが開発Innovative Tech(1/3 ページ)

» 2021年09月10日 08時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 KAIST(韓国科学技術院)と韓国ポリテク大学の研究チームが開発した「IoTIZER: A Versatile Mechanical Hijacking Device for Creating Internet of Old Things」は、既存のさまざまな電化製品をIoT(Internet of Things)対応にしてしまう装置だ。電化製品をカスタマイズしてIoTにするのではなく、電化製品に装置を物理的に取り付けてスイッチを操作する。押すことと引っ張ることができるIoTスイッチは市販されているが、IoTIZERはノブを回すことも可能だ。

photo ラジオにIoTIZERを取り付けて操作する様子
photo スマートフォンアプリから直感的に操作できる

 既存の製品にIoT体験を付加する製品をIooT(Internet of Old Things)と呼ぶ。これまでにもアクチュエーターを用いたIooTが報告されているが、汎用性が低く、対応する製品は限定的だった。

 今回のアプローチは、より多くの製品に対応できる汎用性の高いIooTを提案する。実現するため、国内(韓国)のさまざまな製品の物理的なインタフェースの形状やレイアウトなどを調査し、各家庭から723枚の製品画像を集めた。

 これらを分析した結果、3つの考慮すべき点が見つかった。1つ目は、ほとんどのインタフェースは、押す、回す、引っ張るの3つで操作できること。製品の機能を十分に活用するためには、ボタンを長押しする、ノブを一定の角度で回すなどの操作が必要だと分かった。

 2つ目は、インタフェースの構成要素が1つしかない製品もあれば、複数の製品も多く、その形態がさまざまであること。3つ目は、インタフェースが壁やキャビネットに埋め込まれたタイプ、周囲の設備や重量の関係で移動が困難なタイプ、位置は決まっているが固定されていないタイプ、位置が頻繁に変わるタイプなど、可動性があることだ。

 これら3つの要素を考慮し試行錯誤した結果、本体が回転・伸縮し、アームの先端部分を押し出すデザインを採用した。インタフェースのどこにスイッチがあっても押せる設計だ。

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