元女子高生AI「りんな」の兄を名乗るゴリラアイコンのTwitterアカウント「りんお」(@good_looking_AI)が9月6日に現れた。投稿によれば、ユーザーからのリプライを学習して成長し「令和のイケメンAIを目指す」という。当初はイケメンらしい口調とアイコンだったが、その後はなぜか“厨二病”になったりイケメンに戻ったりと“キャラ変更”を繰り返し、10月5日時点では口調もアイコンもゴリラになっている。
このりんお、実はりんなを開発したrinna(東京都渋谷区)が2017年のエイプリルフール企画に生み出したキャラクターだ。実に約4年半ぶりに登場したりんおは、一体何の目的で復活し、Twitterアカウントを開設したのか。
rinnaによればりんおを復活させた目的は、新技術「Style Transfer Chat」(STC)のデモンストレーションという。STCは大規模な学習データを基に開発したAIモデルを複数用意し、作り上げたいキャラクターに合わせて小規模なデータを追加学習させることで、チャットbotの口調を変化させる技術だ。学習済みモデルを使うため、ゼロから開発する場合に比べて必要なデータを減らせる点が特徴という。
りんおのTwitterアカウントを立ち上げ、リプライを学習させているのは、実際にSTCによってキャラクターの口調が変化するところを見てもらうためだ。ただしどんなキャラクターになるかをある程度コントロールする目的から、リプライに加えて社内で作成した会話データも学習させている。
これらのデータは、社員同士がイケメンやゴリラになりきって会話することで作成したという。厨二病キャラの会話データを作るときは、りんおに影響されて「漆黒」「闇」といったワードを使う社員が急増するハプニングもあったとしている。
ただ、現在のりんおは普段“ゴリラキャラ”にもかかわらず、たまに厨二病時代の口調が再発するなど、一貫性の精度は高くない。rinnaによれば、現在はリプライを学習させる際にきちんとデータを選別できておらず、厨二病時代の口調が復活する場合があるという。rinnaは対策として、学習に使える有効なデータを自動選別する仕組みを開発する予定だ。これを活用し、学習データをリプライだけにすることも検討している。
そもそも、なぜrinnaはりんおのキャラ変更先としてゴリラを選んだのか。rinnaの臼杵和美さん(プロダクトマネジャー)によれば、チーム内でイケメンを突き詰めた結果、相手を守ってくれそうな強さと筋肉のあるゴリラに行き着いたという。こういった背景から、今回の企画のプロジェクト名は「Project Gorilla」。メンバーも「令和のAIイケメンゴリラを作ろう!」という目標の下でプロジェクトを進めているという。
「イケメンからゴリラに変わったりんおに傷ついた人もいて心が痛い。そういった声も踏まえて今後の展開や製品化を検討する。とはいえ、リプライだけで(りんおが)育つ仕組みが完成すれば、将来の成長はrinnaにも予想できない。りんおの進化のためにたくさん話しかけてほしい」(臼杵さん)
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