凸版印刷は10月25日、東北大学発のスタートアップ企業シグマアイ(東京都港区)と共同で、量子コンピューティング技術を活用して物流業務の効率化を目指す実証実験を始めたと発表した。効率的な荷物の配送ルートを計算し、算出にかかる時間や精度などを検証する。
量子コンピューティング技術の中でも、多数の組み合わせから最適なものを選ぶ問題の解決に特化したアルゴリズム「量子アニーリング」を活用。凸版印刷グループのトッパン・コスモが提供している物流業向け業務効率化ツール「MITATE」に適用し、配車や配送ルート計算などの業務負担軽減、配送時間の短縮、環境負荷軽減を目指す。
配送ルートの計算にはこれまでもIoTやAIが適用されてきたが、荷物の種類、到着時間、トラックの積載量、渋滞など考慮する要素が多く、算出に時間がかかっていた。量子アニーリングの活用で計算の高速化や精度向上を目指す。
実証実験では、シグマアイが量子アニーリング技術を活用した配送ルート計算ツールの試作開発、凸版印刷が実証実験の効果検証と事業化を検討する。今後は、物流業界向けのDX(デジタルトランスフォーメーション)支援サービスとして2025年の提供を目指す他、物流業界以外にも展開する予定。
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