3D配信楽曲は、Amazon Music上の表記も以前は「3Dオーディオ」だったのが、19日より「空間オーディオ」に統一された。ヘルプの文章に至るまで全て「空間オーディオ」に置換されている。
オーディオ品質を示すバッジも、以前は「3D」だけだったのが、「Dolby Atmos」と「360 Reality Audio」を区別して表記されるようになった。どちらも聴けるのなら区別する必要があるのかという話もあるが、逆にそこがポイントである。
Apple Musicでは360RAを配信していない。「360 Reality Audio」のバッジがつけられている楽曲は、Apple Musicでは空間オーディオとして配信されていないということになる。
そもそも「空間オーディオ(Spatioal audio)」という用語は、iPhoneで提供する映像コンテンツ向けのオーディオ再生技術としてスタートした。古くはiPhone 11の内蔵スピーカーから対応が始まったが、2020年にイヤフォンでDolby Atmosのデコードを実現した。さらにAirPods Pro内のジャイロセンサーを使い、画面との相対位置を計算して常に画面方向がセンターとなるよう、立体的に音像を配置する「ダイナミック・ヘッドトラッキング」も実装した。
空間オーディオのイヤフォン対応は、AirPods Pro向けの大型アップデートとして導入されたため、当時はダイナミック・ヘッドトラッキングと一体化した技術として認識されたが、実際はDolby Atmosのデコードを指す空間オーディオと、ジャイロセンサーを使うダイナミック・ヘッドトラッキングは別の技術である。
それは音楽配信になっても、基本的には変わっていない。音楽の場合は画面位置ではなく、顔の向きを正面として認識している。これはイヤフォン内にジャイロセンサーと強力なプロセッサを搭載しているからできる技術であり、これに対応するのがAirPods ProとAirPods Max、そして第3世代AirPodsという、「新しい方から3モデル」なわけである。
実は「ミュージック」の設定でDolby Atmosを「常にオン」に設定すれば、接続イヤフォンのメーカーや種類にかかわらず、Dolby Atmosのデコード出力、すなわち空間オーディオ対応はしていた。ただAppleがiPhoneとAirPodsシリーズの組み合わせでアピールしていたので、気が付かなかった人も多かった。
一方Amazonの「空間オーディオ」では、あらゆるヘッドフォン、イヤフォン対応を大々的にうたうことで、対応の広さを売りにした。さらにはDolby Atmosだけでなく360RAも対応することで、「空間オーディオ」の幅をさらに拡大した。
これまでAmazonではスピーカーでしか対応していなかったので、「音の正面」を意識する必要はなかった。スピーカーがある方が正面に決まっているからである。だがヘッドフォン、イヤフォンは頭にくっついている。どう頭を振っても音響空間がそのままついてくるのがいいのか、あるいは頭の移動を検知して音響空間がズレた方がいいのか。
今回のAmazonの対応で、立体音響の普及に弾みがついたのは間違いないが、AmazonとApple Music+AirPodsシリーズ最新3種では、聴こえ方、感じ方は違うということになる。
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