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全社員6人がテレワークへ移行したソフトウェア会社に起きた実録トラブル集(2/3 ページ)

» 2021年11月02日 08時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

遠隔操作

 開発業務の中には実機が必要な組み込みシステムがあるため、創業当初からオンプレミスのサーバを維持管理している。5月に入り暑くなってきたため、事務所内のサーバを冷やす必要が出てきた。

 エアコンは事務所の規定で24時間運転はできないため、エアコンのスイッチを操作する、遠隔操作機器のSwitchBotと、SwitchBotをインターネット経由で操作するSwitchBotハブミニを購入した。

photo SwitchBot

 遠隔操作については、電気と水道の検針(月に1回)や空調機の清掃(2カ月に1回)のために事務所内に入らなければならない管理会社の担当者たちがおり、中に入るために扉の解錠を行う必要も生まれた。

 その都度、出社するわけにはいかないので、遠隔で施錠と解錠ができるQrio LockとQrio Hubを購入。これらの遠隔操作が動作しているかを確認するため、監視カメラであるATOM Camも購入し設置した。

 取り付けたはいいが、Qrio Lockをインターネット経由で操作するためのQrio Hubが作動しなくなり、出社を余儀なくされたこともあった。このため、SwitchBotプラグをQrio Hubに取り付けて、インターネット経由でQrio Hubを再起動できるようにした。

photo Qrio Lock

給与明細の電子化

 在宅勤務前は印刷した給与明細書を紙で各社員に手渡ししていた。郵送だと手間や切手代がかかるため、電子化ができないか検討した。

 給与計算の委託先である会計事務所に連絡し、給与明細を電子化して公布できないか聞いてみたところ、すでに法改正が行われており、平成19年(2007年)1月1日から従業員の同意があれば給与明細の電子化による公布(Web、メール、PDFなど)が許されていた。

事務所宛に届く各種書類

 事務所に届いた各種書類をそれぞれ自宅宛に変更する。変更できた書類は、国税と地方税、給与支払報告書、健康保険料などの引落通知書、中小企業退職金共済からの書類だ。

 苦戦したのは、健康保険協会から届く社員分の医療費一覧の書類。個人情報が含まれているために送付先変更はできないと言われたが、食い下がって交渉を続けた結果、4月にまとめて送られる書類のみ送付先の変更が認められた。

 困ったのは法人契約のクレジットカードの更新時期に送られてくる新しいクレジットカード。クレジットカード会社に問い合わせると、自宅への郵送はできないという返事だったが、さらに交渉すると、郵便の追跡番号を教えるので自分で宛先を変更するようにと提案された。自宅近所の集配局への転送を受け付けてもらい、集配局で受け取ることができた。

 備品などの購入に使用するアスクルからの請求書は、宛先を当初、坂下氏の自宅に変更したところ、「住所+社名」の宛先に送付されため、受け取ることができなかった。そのため、「社名と事務担当者名として坂下」で登録し直し、さらに自宅の郵便受けにも社名を表示し無事解決した。

 自宅郵送に切り替えられず断念した書類は、社会保険関係の書類、法人契約のクレジットカードの明細書、労働保険関連の書類だ。

 その他、大量のダイレクトメールが送られてきており、それぞれについて送付しないように依頼。一部の企業は問い合わせ先がなく停止に苦労。公正取引委員会、企業統計調査などの書類は登記情報から送付されるようなので対応しようがなくそのままにした。

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