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日本でのMaaS普及、“ラストワンマイル”はデータ連携? Uberや国交省などが議論(2/4 ページ)

» 2021年11月15日 09時00分 公開
[石井徹ITmedia]

 特にマイカー中心の社会になっている地方では、公共交通の維持は喫緊の課題だ。クルマを運転できない交通弱者にとって、公共交通の衰退は移動の自由を奪われることになりかねない。

 つまり、国交省は、交通弱者が負担なく移動できるような社会の実現のために、日本版MaaSの普及を後押ししているといえる。

 ただ、日本版MaaSとは銘打つものの、具体的な形があるわけではない。2021年現在は、各社がさまざまな視点から実証実験を繰り返し、新たな移動サービスとして定着するための要素を見極める段階にある。

 以下に、国内での各社取り組み状況を見ていこう。

JALは旅行のワンストップ予約を模索

日本航空の清水俊弥さん(デジタルイノベーション本部 事業創造戦略部 MaaSグループ長)

 日本航空(JAL)では、航空機を中心としたMaaSの可能性を検証している。JR東日本と空港への鉄道路線と航空機をまとめて手配できるような仕組みを作り、Uberとの連携により旅先で使える「Uber Taxi」や「Uber Eats」のクーポンを配るなどの取り組みを実施している。

 物流ITスタートアップのCBcloudとは、荷物配送サービスの「PickGo」をフライトと連携。空港で荷物を預けると旅先のホテルまで直送できる仕組みを検証した。

JALはフライトを起点にした国内外の移動を円滑化するサービスを構想している

 JALでMaaS戦略を統括する清水俊弥さんは「5年後には自宅から目的地までのシームレスな移動が実現すると予想する。電動キックボードやマイクロモビリティーなど新たな移動サービスの社会実装も進むのではないか。より先の未来には“空飛ぶクルマ”のような新たな移動手段との連携も考えられる」と見通しを示す。

 その上でJALとしてMaaSに取り組む意義は目先の収益化ではなく、移動の利便性を高めることにあると説明。「シームレスな移動ができるように便利なサービスを提供し、移動の総量が増えることで初めて収益につながる」(清水さん)

JALでは“空飛ぶクルマ”のMaaSへの統合も検討している

WILLERはラストワンマイルをMaaSでつなぐ

 全国各地の高速バス路線を運営し、傘下には地方鉄道の京都丹後鉄道も抱えるWILLERグループ。WILLERの村瀬茂高社長は「既存の公共交通との組み合わせで、マイカーと同等、あるいはそれ以上のサービスを提供していくことが重要」と強調する。

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