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VR空間でガチに原稿を書いたらその実用度に驚いた 「バーチャルで仕事」のメリットと課題(2/4 ページ)

» 2021年11月26日 19時15分 公開
[西田宗千佳ITmedia]

Quest 2+Horizon Workrooms+MacBook Proの破壊力

 こうした変化の中核にあるのは、Meta(Facebook)のVR用デバイスである「Oculus Quest 2」のシステムソフトウェアおよびサービスが、着実に進化してきたという事実だ。

 Oculus Questの主軸はゲームであり、ビジネスとしてもそこが中心に動いている。一方でMetaは「Infinite Office」という構想を軸に、Oculus QuestをPCのようなワークツールとして使う整備も進めている。

Infinite Officeのデモビデオ。この通りには「まだ」ならないが、狙うところはよく分かる

 中でも大きいのは「ハンドトラッキング」が可能になったこと、バーチャル空間内に「机」を持ち込めるようになったこと、そして、会議用サービス「Horizon Workrooms」の登場だ。

 現実の机をなぞって認識させることで、VR空間内でも「そこが机である」という扱いにできるし、近くの様子をモノクロで見ることできる。そうすることで、「ノートPCやキーボードを卓上に置いて作業に使う」ことができるようになったわけである。

photo Quest 2の画面。下の灰色の部分は「リアルの机」を認識させたもの。

 そのことを最大限に活用したのが「Horizon Workrooms」である。基本的には会議・コミュニケーションツールであり、今は誰でも無料で使える。いわゆるアバターベースのコミュニケーションサービスなのだが、ホワイトボードがあったりPCからも入れたりと、現状のこの手のツールとしては突出した完成度になっている。

photo Horizon Workrooms。8月に公開されたサービスで、利用は無料。現状の会議系サービスでは突出した完成度になっている

 特に注目しておきたいのは、Horizon Workroomsが「PCやMacをVR空間内に持ち込める」ところだ。PC/Macに「Oculus Remote Desktop」というアプリを入れておくと、PC/Macの画面をHorizon Workrooms内に表示できる。もちろん接続はワイヤレスでいい。こうすることで、どこでも大きな画面でPC/MacをVR会議室に持ち込める。別に会議をしなくても、1人で作業してもいいのだ。

photo Horizon Workroomsで会議しているイメージ。こんな風にPC/Macを持ち込み、壁にPCの画面を共有しつつ会議できる

 この機能、MacBook Proとは異常に相性がいい。なぜなら、「VR内でキーボードの認識」ができてしまうからだ。

 以下の画面は、接続設定をしてMacBook ProのキーボードをHorizon Workrooms内に持ち込んだときのものだ。黒くぼんやり見えているのは、実際にタイプしている自分の手だ。別に決められた場所にMacBook Proを置いたわけではないし、特別なマーカーをつけたわけでもない。Oculus Quest 2がちゃんと「認識してくれている」のだ。

photo MacBook ProをOculus Quest 2が認識し、さらに利用者の手の動きも認識してくれるため、タイプがそのまま見える。このため、VR内なのにちゃんと作業ができる

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