もうあと1年ちょっとしか時間は残されていない。
DTPの黎明期から長く使われてきたPostScript Type 1フォントのサポートが2023年1月をもって終了する。Type 1フォントを使用してきたAdobe CCユーザーなら、過去のドキュメントを開いた時点でアラートが発生するので既にお気付きだろう。
この件については2021年4月28日にアドビから公式にアナウンスされている。それ以前にも、アドビは2000年代に入るとユーザーにOpenTypeフォントへの移行を促すアナウンスを行ってきた。例えば国際タイポグラフィ協会主催のカンファレンス「ATypI 2019 TOKYO」でもこの件に時間を割いた。
サポート終了の理由については上記のリンクページにまとめられている。アドビは1990年代後半からOpenTypeフォントへの移行を推進してきた。自社のサービスであるAdobe Fontsは既に移行を完了し、現在はPostScript Type 1形式のフォントを販売していない。
なぜ、サポート終了前にこのような告知とアプリケーションでのアラートでの注意喚起を続けているのだろうか。それは、1980年代から今世紀初頭まで連綿と続いてきた日本語DTP+PostScriptの環境下で制作されてきた書籍、雑誌、広告などのデジタル化された過去のグラフィックデータを再販・改定するときのトラブルを事前回避するためである。
例えば2023年1月以降にIllustratorやInDesignなどのアドビ製品で制作されたデータを開こうとすると、最新のAdobe CCでは環境に無いフォントとしてエラーを発する。Photoshop 2022ではすでにフォントメニューに表示もされない。ただし、Acrobatでフォントの埋め込みを指定して保存したPDFについては、ドキュメントを開いて表示/印刷するだけならば、オリジナルで使ったType 1フォントでのデザインや組版はPDF上や印刷で維持される。
では何が問題なのか考えてみたい。
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