農業と食品産業の研究開発を行う農研機構は11月29日、飛行する害虫の位置をカメラで検出し、飛行パターンを予測する方法を開発したと発表した。害虫の位置を予測することで、レーザーで狙撃し駆除する、新しい害虫防除システムの開発が期待できるという。
研究チームは、農業において代表的な害虫と知られる「ハスモンヨトウ」の成虫を2台のカメラを並べたステレオカメラで1秒間に55回のペースで撮影。飛行の軌跡を3次元データとして計測して飛行パターンをモデル化した。
モデル化した飛行パターンと、リアルタイムで計測した位置を組み合わせた結果、カメラでハスモンヨトウを検出するまでに0.03秒のタイムラグが生じており、その間に2〜3cm以上移動を続けることが明らかになった。このままではレーザーは命中しないため、0.03秒先の位置を1.4cm程度の精度で予測できる手法を開発した。
現在、世界の食料総生産の15.6%に害虫が損失を与えているといわれており、害虫防除は安定的な食料生産のための重要な課題になっている。しかし、ハスモンヨトウのように殺虫剤への耐性を発達させた種も現れており、化学農薬に代わる防除技術が必要となっている。
代替技術として提案されているのが、レーザー光による狙撃である。この技術は、化学農薬のように使うほど効果が低下する心配がなく、環境への負荷も少ない。今後は、2025年までにレーザー光技術の実用化を目指し、複数のハスモンヨトウにレーザー照射することを想定したシミュレーターなどを使い、開発を進める。
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