「メタバース」という言葉がメインストリームに躍り出た年。2021年をそのように表現しても差し支えないほど、この言葉は今注目されています。
VRメタバースを軸として、そこでは何ができるのか、どんなビジネスが展開するのか、これからどんな技術的発展を遂げるのか。そもそもメタバースとは何なのか、その定義について。こうした話題や議論が毎日のように飛び交っています。
そこでこの1、2年を振り返って、なぜ「2021年」にメタバースが注目されるに至ったのかについて考えるのも有益でしょう。この波がやってきた方角を確認することは、2022年に向けた盛り上がりを予想することにもつながるからです。
2021年、「メタバース」という言葉が大きく注目されるようになったのは言うまでもなく、FacebookがMetaに社名を変更し、「メタバースを構築する企業」として名乗りをあげたことが契機になっています。
しかしこの変化は、2021年秋に突然やってきたものではありません。注意深くWebの情報を集めていた人ならば、メタバースというキーワードが2019〜2020年の段階で少しずつ登場していたことに気付いていたことでしょう。
例えば月間のアクティブユーザー数が1億人を超えるゲームプラットフォームRobloxのCEOであるマット・カーティス氏は、2020年の5月にGamesBeat Summit 2020にバーチャル登壇して「ゲームの未来はUGC(ユーザー生成コンテンツ)にある。そしてそれはやがてメタバースにつながる」と発言していました。
2020年4月にラッパーであるトラビス・スコットのバーチャルライブをFortnite上で成功させたEpic Gamesも、Fortniteがゲームからソーシャルなプラットフォームに進化することを指して「メタバース」という言葉をこの時期に利用するようになっています。
Facebook Horizonの開発が発表されたのは2019年ですが、それから2020年にかけて、Facebook社は少しずつ自身について「メタバースを作る企業」というメッセージを織り交ぜるようになっていました。
Webブラウザのなかで体験するSNSの、その先にあるものとして、さまざまな企業がメタバース的な戦略を思い描いていたわけです。そしてこの流れは、より俯瞰するとクラウドコンピューティングが成熟した先に仕事環境自体を仮想化することを目指していたGoogleやMicrosoftなどの思惑とも合致しています。
つまり2021年に起こったことは、ここ数年の技術的な流れがようやく蕾をつけて、発見しやすくなった結果と言ってもいいのです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR