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2021年はなぜ「メタバース」の年となったのか?メタバースはじめました(3/3 ページ)

» 2021年12月31日 09時04分 公開
[堀正岳ITmedia]
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ソーシャルVRがさらに盛り上がった1年

 メタバースに向けて巨大企業が舵を切っていたこと、ハードウェアが成熟していたことも大切ですが、それに加えて注目したいのはソーシャルVRサービスに集まるユーザーたちの活動がさらに盛り上がった1年であったことです。

 日本国内でも「東京ゲームショウ2021 オンライン」「バーチャルマーケット 2021」「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」といったイベントが開催され、多くの観客が集まったことは記憶に新しいと思います。

 海外でも「SXSW online 2021」や、カンヌ国際映画祭のVR/AR部門といったイベントが、新型コロナウイルスのパンデミックによって冷え込んだ大型イベントの空白を埋めるように開催されました。

 こうした大規模なイベントに限らず、VRChatのようなプラットフォームではユーザーが自主的に開催するイベントが年々増えています。毎日のようにさまざまな催しがあるだけではなく、週末ともなれば互いに時間が重なり合って集客が難しくなっているほどです。

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 私が参加したり関わったVRChatのイベントだけでも、「クロスマーケット2」「パラレルマーケット」といった即売会や、「Virtual Reality Music Festival」のような音楽フェスティバル、「ファンタズムセブン」のようなバーチャル闇鍋イベントといったものが毎月のように開催され、飽きる暇はまったくありませんでした。

 草の根のVRコミュニティーも急速に広がっています。例えば私が参加しているVRの初心者ユーザーが集うDiscordサーバ「ゆるふわVR」では数百人のメンバーが、VRChat上での遠足やパパママの交流会、あるいは一緒にゲームを楽しむといった活動をしています。

 こうした多くのユーザーの交流の根底にあるのは、VRメタバース内で誰かとつながりたい、誰かに何かを届けたいという熱意です。

 例えばイラストを描く人が、それを展示するワールドをVRChat内で作成して展覧会イベントを開催する。豆知識やノウハウをもった人がプレゼン大会をclusterで実施する。そういった活動はここ数年も見られたものでしたが、2021年になってさらに数、質、規模ともに大きく成長しました。

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 より多くの人がコンテンツをVRメタバースに提供し、それを楽しむ人がさらに集まる。こうした循環のなかでさらにVRメタバースが成長していった、そういう年だったわけです。前半に紹介したマット・カーティス氏の「UGCはやがてメタバースにつながる」という発言は、ここでも生きていることになります。

 本当の意味での「メタバース」は、まだようやくその輪郭が見えてきたにすぎない、未来の風景です。それが実際にどんな姿になるのかが分かるまでには、まだまだ紆余曲折があるでしょう。

 しかし「VRメタバースにいることが楽しい!」「ここにいることに幸せを感じる!」と考えるユーザーたちは、一足先にその夢を垣間見ているといえます。そしてユーザーたちがこの夢を守り、より多くの人に伝えようとする流れは2022年も止まらないはずです。

 メタバースという未来への扉が多くのユーザーたちの手によって開かれていく現場を、ぜひ目撃してください。

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