米Meta(旧Facebook)が2019年6月に発表した暗号通貨「Libra」(後に「Diem」と改称)のプロジェクトが終了する。プロジェクトを管理するために立ち上げられた組織Diem Association(当時はLibra Association)は1月31日(現地時間)、ブロックチェーンベースの決済ネットワーク「Diem Payment Network」運営に関連する知財を含むすべての資産を米Silvergate Capitalに売却すると発表した。買収総額は約2億ドル。Diem Associationとその子会社は、向こう数週間中に解散プロセスを開始する。
Diemのスチュワート・レヴィCEOは「世界中の政府や規制当局からのフィードバックに基づいて様々な改善を行ってきた」が「米連邦規制当局との対話から、プロジェクトをこれ以上推進できないことが明らかになった。そのため、最善の道はSilvergateへの資産売却という結論に達した」と語った。
Silvergate Capitalは、暗号資産投資家に商品やサービスを提供するSivergate Bankの親会社。Diem Associationと共に、米ドルに固定したステーブルコインの立ち上げに取り組んできた。
Metaの暗号資産プロジェクトに対しては、立ち上げ当初から規制当局などが懸念を表明していた。Libra Associationの立ち上げ段階で参加を表明していた企業は、数カ月で大量に撤退した。
Facebook(当時)はブランド変更などでDiem推進に努めたが、昨年12月にはDiemのために立ち上げたMeta傘下の暗号資産企業Noviのデジタルウォレット「Novi」で、Diemではなく米Paxosのステーブルコインを使うWhatsAppの機能を発表した。
Noviのトップ、デビッド・マーカス氏は昨年末にMetaを退社した。同氏は今回のDiem解散の報を受け、「元同僚のみんなとSilvergate Bank、おめでとう。私がこれからもLibraと呼ぶであろうものに、私達は血と汗と涙、そして心を捧げた。私達は正当な理由で使命を重視してきた(それは今も変わらない)」とツイートした。
Diemの売却と並行して、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは同日、Crypto Open Patent Alliance(COPA)に参加したと発表した。「メタバースは、これまでのどんなプラットフォームよりも相互運用性が高く、オープンである必要がある。COPAに参加することで、暗号特許を誰でも使えるようにし、未来を皆と共に構築できることを誇りに思う」という。
COPAは、特許訴訟の可能性を下げることによってイノベーションを促進する暗号オープン特許アライアンス。Block(ジャック・ドーシーCEO率いる旧Square)、Coinbase、MicroStrategy、Kraken、Chaincode Labs、Uniswapなど約30社が参加している。参加企業は、防御上の理由を除いて、暗号資産特許を誰に対しても強制しないことを約束し、特許をすべての人が自由に使えるようにする。この取り決めがDiem Associationの知財にも及ぶかどうかは不明だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR