初日の主催者プログラムで面白かったのはCIPA調査統計作業部会の太田学さんによるマーケットセミナー。データを使った市場の動きの解説は普通はなかなか聞けない。
テーマは「趣味の王様奪取宣言」。マーケットセミナーっぽくないテーマだが、前半は市場の分析と見通しを数字とグラフで見せてくれるのでデジカメ業界の現状はどうなっていて、この先どうなるの? と気になる人にはありがたく興味深い。後半は“趣味の王様”といわれるアマチュア無線の世界を紹介し、写真も趣味の王様にしたいという内容だった。
グラフで興味深かったのはコロナ禍前の2019年と、コロナ禍における2020年と2021年の出荷数量の推移だ。
世界が新型コロナの影響でどうなったかのか、数字に如実に現れる。本来ならカメラの出荷数量が増えるのは春と秋。2020年はコロナ禍によってぐぐっと下がったが、秋にかけて回復した。
2021年は春に復活してきたかと思いきや、そこで伸びずフラットに。需要が回復してきたかに見えたのに後半に伸びなかったのは、半導体部品の供給不足がのしかかってきたからだという分析だった。
2021年秋といえば、オミクロン株が登場する前。コロナ禍がちょっと落ち着いていた時で、需要は復活したのに半導体不足で売るものが潤沢二用意できなかった。
もう1つの大きなトレンドとして出荷金額の推移も面白い。デジカメの出荷台数はコロナ禍を抜きにしても、ピーク時の10分の1くらいに落ち込んでいるのは確かなのだけど出荷金額は漸増傾向にある。
これはカメラ好きなら感覚的にピンとくると思う。
エントリー向けの廉価なモデルは売れなくなっているが、高性能なハイエンドミラーレス機が伸びているということだ。各社の新製品がどのジャンルに注力しているかを見ると、確かにハイエンド機である。
それを如実に表したのがカメラの平均出荷単価グラフ。出荷時の単価なので市場価格はこれよりぐっと大きくなる。
ミラーレス機の単価がここ数年で大きく上昇しているのに対し(当初はエントリー機メインだったので安かったが、今はハイエンド機がメインになっている)、一眼レフの単価が下がっているのも数字で出ている。
ハイエンド機を購入するハイアマチュアやプロがミラーレスへ移行しているのだ。
コンパクトカメラの単価も徐々に上がっているが、これは単純に廉価なモデルが売れなくなったからと思っていいんじゃなかろうか。
それ以外にもアジア市場の変化やアジア市場で独特の伸びを見せている中国市場でのマーケットリサーチの話などもあるので、興味がある人はぜひCP+ 2022に登録して講演を視聴してください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR