ITmedia NEWS > AI+ >
ITmedia AI+ AI活用のいまが分かる

偏りのない「感情認識AI」が目指すウェルビーイングな社会とは?プラマイデジタル(1/2 ページ)

» 2022年04月05日 16時47分 公開
[野々下裕子ITmedia]

 2022年、3年ぶりに対面でも開催された国際イベント「SXSW」のピッチイベントで、感情分析AIのスタートアップ「Hume AI」が優勝した。

photo Hume AI

 Future of Work、Health, Wearables and Wellbeingなど9つの部門で、投資家や各ジャンルの専門家が世界から集まった革新的な技術やアイデアを持つスタートアップを表彰する「SXSW PITCH」。2022年はAIを活用する企業が全体的に目立っていた。

 そうした中でAI部門といえる Artificial Intelligence, Robotics & Voiceで優勝したHume AIは、心理学の研究者でありGoogleで客員研究員として働いていたアラン・コーウェン博士により立ち上げられた。

 1990年代から感情に関する研究を続けてきたコーウェン博士は、データドリブンな人間の経験と表現を研究する方法を開発しようとしている。日常生活を撮影した600万もの動画から顔の表情を分析し、文化を越えて推測する論文をNatureに発表しており、感情コンピューティング(affective computing)の研究活動も支援している。

 映画に登場するAIやロボットは常に人の感情が理解できず、最終的には人間に反旗を翻すものとして描かれることが多い。それに対しコーエン博士は「AIが偏りなく人の感情を認識できればそうした脅威はなくなり、ウェルビーイングな福祉社会の構築に貢献できる」と言う。彼が目指す「empathic AI」(共感型AI)は、ワールドワイドに収集した膨大なデータを分析した偏りがないラーニングスキルモデルをベースにしているのが特徴だ。

photo SXSW PITCHのWinnerインタビューに答えるアラン・コーウェン博士(提供:SXSW)
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.