ヤマハは4月7日、米Dolby Laboratoriesの「Dolby Atmos for cars」に沿った車載用の立体音響システムを開発し、自動車メーカーに向けてデモンストレーションを開始したと発表した。年内の量産を目指す。
座席のヘッドレストや天井を含む車内30カ所にスピーカーを設置し、独自の信号処理により「全てのシートで立体音響の圧倒的な没入感を体感できる」としている。乗車時に立体音響の効果が分かる「ウェルカムサウンド」を流す機能も設けた。
独自のDSPチップ「YMU837」を始め、オーディオやAV機器の開発で培った技術を投入。例えばリスナーに近いスピーカーから出す音には独自の信号処理を適用し、距離感に由来する歪みを解消する。
ヤマハによると立体音響で音に方位情報を加えることは、注意喚起に対するドライバーの認知を向上させ、運転支援にもつながるという。ヤマハはこれまでもアクセルの操作に応じた“加速音”を車内に流すなど、静かになったEV(電気自動車)に対応したサウンド設計を行っている。
新システムは車種ごとのチューニングが必須のため、ヤマハは自動車メーカー向けに訴求する構え。ドルビージャパンの協力を得て「Dolby Atmos for cars」に沿ったデモ環境を作成した他、車種ごとの調整を効率化する「パラメータ検索エンジン」を新たに開発した。
ドルビージャパンの大沢幸弘社長は「自動運転に向かう時代、 車内は益々エンターテインメントの空間になる」として車載用の立体音響システムに期待を寄せている。
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