東京商工リサーチは4月26日、電力小売事業を手掛ける企業(新電力)の2021年決算を集計し、6割近く(56.3%)が赤字だったと発表した。前年の24.1%から大幅に赤字の企業が増えた。
過去3年間の業績が比較できる新電力137社の決算を集計した。黒字79社に対して赤字は102社。137社の売上高を合計すると1兆8699億円と前年比で14.3%の増収となったが、当期利益の合計は593億円の赤字だった。
2021年は1月に日本卸電力取引所(JPEX)の取引価格が高騰し、新電力の調達コストが上昇。21年3月に大手のF-Power(東京都港区)が会社更生法の適用を申請するなど新電力の経営悪化が表面化した。
その後、電力取引価格は落ち着きを取り戻したものの、秋には燃料価格の上昇などの影響を受けて再び需給がひっ迫。22年もロシアによるウクライナ侵攻などで燃料価格は高止まりし、逆ざや状態が続く。新電力は新規契約の受付停止や事業撤退も相次いだ。
東京商工リサーチは「ビジネスモデルが根本から揺らぎ、今期も赤字拡大は避けられない事業者も多い」と指摘。「新電力業界は淘汰リスクが高まり、大きな岐路に立たされている」という。
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