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「神絵師のイラスト消えてて絶望」 セクハラ騒動で揺れるpixivユーザー アカウント削除で抗議の意思示すクリエイターも

» 2022年05月30日 19時00分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 ピクシブ社内でのセクハラ報道を受け、イラスト・小説投稿サービス「pixiv」のユーザー間に波紋が広がっている。クリエイターの中には、ピクシブに抗議のメッセージを送ったり、作品の削除や退会を検討したりする人が出ている。一方、作品を閲覧できなくなった一般ユーザーからは「『運営キモい」と思ったらアカウント削除するのは仕方ない」「好きな絵師さんの絵が全て非公開になったの絶望、許せない」などの声が上がっており、議論が広がっている。

 発端となった弁護士ドットコムニュースの報道によれば、ピクシブでは女性社員やトランスジェンダーの社員が男性の上司からセクハラを受けていたという。事態を受けたトランスジェンダーの社員(以下、原告)は慰謝料約555万円を求め、男性とピクシブを提訴する方針を示している。

photo イラスト・小説投稿サービスを運営するピクシブ(同社公式サイトより引用)

 男性上司はピクシブの元役員で、一度は原告に謝罪したが、その後もセクハラを続けていたという。耐えかねた原告はピクシブのセクハラ窓口を通して弁護士に相談。ピクシブは男性を役員職から解任した他、原告と男性を同じ事業部に配置しないなどの措置を約束した。

 しかしこの措置が徹底されず、原告は精神的損害を受けたとして休職。その後復職したものの、男性上司への慰謝料請求を巡る交渉も不調だったこともあり、訴訟に至ったという。

 報道のあった5月27日以降、SNSではピクシブに批判が集中。Twitterでは「pixiv」が日本のトレンドに入った他、pixivや作品販売サイト「BOOTH」で公開しているイラストや小説などを非公開化・削除すると表明するクリエイターが続出した。

 ただし、中にはピクシブに抗議のメッセージを送るにとどめたり「作品を掲載する移行先がない」「急に作品を消すと無断転載の原因になるかも」として対応を見送ったりしている人も見られた。削除などの対応が相次いでいることを受け「漫画やイラストを削除するつもりはない」と表明する人もいた。

 作品が閲覧できなくなった一般ユーザーの反応はさまざまだった。クリエイター側の意見に同調する人もいれば「pixivの運営を擁護する気は無いけどpixivのイラストが消えるのはイヤ」などとする人も見られた。中にはピクシブや親会社のアニメイトホールディングスへの抗議を呼び掛ける人もいた。

 一方、クリエイター側の対応が割れていることから、他ユーザーに抗議の行動を起こすよう呼び掛ける人や、逆に「退会や削除を求めるのは同調圧力では」と批判する人など、議論が紛糾している。

 事態を受け、ピクシブは30日に声明を発表。ハラスメントや男性への懲戒処分を事実と認め、改善の方針を示している。

photo pixivの声明

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