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iPhone契約で“箱に名前記入” ドコモ「心苦しいが転売対策」

» 2022年06月06日 19時50分 公開
[山川晶之ITmedia]

 6月3日辺りから、「ドコモでiPhoneを買うと箱に名前を書かせる」という投稿がTwitterなどで目立つようになった。ツイートに添付されたポップの写真を見ると、確かに名前の記入に関する記述が書かれている。NTTドコモに確認したところ、箱への記名を「事実」と認めた。

 ドコモによると、転売対策として6月3日から実施したものという。「必要としているお客様に機種が渡らない。一般的な転売の問題と構造は同じ」としており、「転売目的の購入が多く発生しているのが現状。大変心苦しいが、必要としているお客様向けにこういった運用をしている」(ドコモ)と説明。ショップによっては、名前ではなくショップのハンコを押印するところもあるという。

 この運用は、割引施策を適用するための条件として実施している。割引施策を使わなければ箱への記入は不要となるため、箱の状態を気にするのであれば割引無しで買う必要がある。対象端末は、期間ごとに販売施策が変わっていくため流動的であるとしつつも、「iPhoneが入っていることが多い」(ドコモ)とのこと。販売施策によってはAndroid端末もこの条件が適用されることがあるようだ。

 一方でこの施策は、転売目的はないものの「安くiPhoneを購入して1〜2年後に買い替えのために売却したい」ユーザーや、「安くきれいな状態で購入したい」ユーザーにしわ寄せが行くことになる。

 ドコモ側も、そういったユーザーへの影響は「理解している」としつつも、「不利益が発生する可能性があるとは思うが、転売対策と総合的に鑑みて運用した」という。キャリアの買取サービスや一部買取店では、箱の状態は買取価格に影響しない。そのため「お客様への不利益が発生するのは限定的」と同社は分析している。

 スマートフォンの販売を巡っては、加熱していたMNPのキャッシュバック競争を是正するため、総務省主導で回線と端末の分離契約が進められ、過度な端末価格の引き下げができない状況が続いていた。しかし、2021年あたりから端末のみの価格を割り引きしてまで、MNP時の端末価格を引き下げるなど安売り合戦が再燃。iPhoneなどが“一括1円”で購入できるケースも見られた。

 このため、転売を目的とした購入も相次いでいる。転売は新品に近い状態ほど高値がつくため、きれいな状態での購入が好まれるが、ドコモはそれを防ぐために奥の手を使った形だ。

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