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手書きスケッチをきれいな3D図面に自動変換するシステム 英国やフランスなどの研究チームが開発Innovative Tech

» 2022年06月09日 08時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 英University College London 、フランスの研究機関Inria、Microsoft Research Asia、Adobe Researchによる研究チームが開発した「Free2CAD: Parsing Freehand Drawings into CAD Commands」は、フリーハンドで描いた形状をCAD(Computer-Aided-Design)コマンドに自動変換するスケッチベースのモデリングシステムだ。CAD経験がない初心者でも容易に3Dオブジェクトを構築できる。

入力スケッチから3Dオブジェクトを自動生成する

 CADは、3次元形状を作成するための業界標準であるが、その固有の複雑さゆえに初心者には難しく、ある程度の専門知識を要していなければならない。そこで今回は、初心者でもきれいな仕上がりになる手書きスケッチに基づくモデリングシステム「Free2CAD」を提案する。

 Free2CADでは、ユーザーが形状をスケッチするだけで、そのストロークをシステムが解析し、簡略化されたCAD言語で表現されたコマンドのシーケンスに自動変換してくれる。これらのコマンドを実行すると、フリーハンドで描いたスケッチが整列した状態で3Dオブジェクトとして再現される。

 出来上がった3Dオブジェクトに対して、その上からフリーハンドで描くこともでき、穴を開けたり突起を付け加えたりと絵を描くように改良が行える。

 この手法は、ペンストロークのシーケンスを入力として、個々のCAD操作に対応するストロークのグループ化という新しいタスクを導入する。このグループ化タスクはTransformerによって学習される。加えて、操作パラメータの幾何学的フィッティングを組み合わせることで、このアプローチを実現する。

デモで描いたさまざまなサンプル

 研究チームは、ユーザーが描いたスケッチと、一般に公開されているCADシーケンスから生成された図面を比較し、システムを評価した。その結果、CADモデリングの経験を持たないユーザーでも、システムを用いて有用なCADシーケンスを作成できること、ユーザーごとに異なる戦略でこの描画タスクにアプローチできることを示した。

Source and Image Credits: Changjian Li, Hao Pan, Adrien Bousseau, and Niloy J. Mitra. “Free2CAD: Parsing Freehand Drawings into CAD Commands”



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