欧州連合(EU)の立法議会である欧州議会は7月5日(中央ヨーロッパ時間)、欧州委員会が2020年に発表したIT大手を抑制する2つの法案「Digital Services Act(DSA:デジタルサービス法)」と「Digital Markets Act(DMA:デジタル市場法)」を賛成多数で可決した。
DSAは賛成539票、反対54票、棄権30票で、DMAは賛成588票、反対11票、棄権31票での可決。
この後、欧州連合理事会が正式に採択すれば成立する。欧州委員会によると、いずれも2022年秋に発効する見込みだ。
DSAとDMAは、IT業界の社会的および経済的影響に対処することを目的とした法案だ。主に米IT大手、Googleの親会社Alphabet、Apple、Meta、Amazon、Microsoftなどが標的になる。
DSAは、プラットフォーム企業に対し、違法コンテンツ、偽情報などの社会的リスク拡散に取り組む義務を定めるもの。マーケットプレイスの商品もチェック対象だ。
月間ユーザー数が4500万人以上のプラットフォームと検索エンジンはEUの独立監査機関の監査対象になる。
DMAは、デジタル市場で「ゲートキーパー」として機能するプラットフォームに、より公正なビジネス環境とより多くのサービスを消費者に提供することを求めるもの。不公正な商慣行を防ぐため、(AppleやGoogleのアプリストアなどの)消費者の選択肢を狭める「ロックイン」や、プラットフォームがサードパーティより自社サービスを優遇することを禁止する。また、ターゲティング広告のためにユーザーの個人データを明示的な同意なしに利用することも禁じる。
ゲートキーパー企業がDMAに違反すると、前会計年度の全世界の売上高の最大10%を、違反を繰り返す場合は最大20%の罰金を科す。
欧州委員会のティエリー・ブルトン委員(域内市場担当)は自身のLinkedInアカウントで、DSAとDMAを“実装”するための組織編成計画について説明した。社会問題、テクノロジー、経済などテーマ別の対策専任チームを結成し、違反の可能性のある企業を監査するという。
2024年には、DSAとDMAのための専任のチームを100人以上の規模にする計画だ。
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