大容量で使用条件が過酷なEVは、iOSやmacOSよりも高度な管理を行なっていることは想像に容易いでしょう。富士山五合目の事例はバッテリー温度を下げるためのプレコンディショニングだと思いますが、冬場は逆に温度を上げるための管理が自動でおこなわれます。
例えば、Tesla専用の充電施設であるスーパーチャージャーをナビの目的地に設定すると、最適な温度状態で充電が開始できるよう走行中にプレコンディショニングしてくれます。
五合目で2%を消費したように、このプレコンディショニングの消費量がばかになりません。2021年の初冬のことです。伊勢湾岸自動車道の湾岸長島パーキングエリアから、滋賀県の大津スーパーチャージャーへの旅程においてバッテリーを34%から18%まで消費しました。ただ、このうちの3%は、プレコンディショニング消費であることがTeslaFiのログに残っています。この例では、走行距離にして約17km分をバッテリーマネジメントに費やしている計算です。
この他にも、走行とは関係なくバッテリーを消費する場面がModel 3にはいろいろとあります。例えば、駐車中にセントリーモード(見張り機能)をオンにしておくと、約8時間で1.65kWh程度、2%強消費します。ただ、これは自宅や仕事場の平穏(?)な駐車場での話です。
ショッピングモールのパーキングなど、周囲の状況により頻繁に録画などのイベントが発動する場合はもっと消費します。過去ログを見ると約1時間の買い物中、十数回のイベントが発生し、約300Whを消費していたことがありました。前述の平穏な駐車場では1時間あたり約200Wh消費だったので、1.5倍の電力消費ということになります。
また、キャビン過熱保護機能でもバッテリーを消費します。これは、運転後12時間以内に車内温度が40度を超えると、エアコン機能が自動で働き、室温を40度以下に保ってくれるものです。
気温が40度近くまで上昇する日の炎天下での停車中、車内温度は60度を超えます。試しに午前10時から午後6時ごろまでキャビン過熱保護をオンにしておいたところ、70%あったバッテリーは64%まで減っていました。その間絶え間なくエアコンが作動しているわけですから当然です。このキャビン過熱保護機能は、任意にオン・オフが可能です。
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