バッテリーの話になったので、そろそろ1年を迎える2021年9月17日の納車のModel 3のバッテリー劣化がどの程度進んでいるのかを調べてみましょう。次のグラフは、100%充電した場合の航続距離予測です。青い線が筆者のModel 3で、緑の線は筆者と同じ年式の車種で似たような走行距離の世界各地の他ユーザーの平均です。
横軸がオドメーターの値で、縦軸が100%充電時の予測航続距離です。記録を開始したオドメーター111km時は532.55km、9651km時点で545.82kmです。縦の赤い線はソフトウェアアップデートを示しています。アップデートと航続可能距離との相関関係があるようでないような、なんとも言い難いです。
ただ、545.82kmという数字は、あくまでも計算上の予測値です。例えば、直近の運転状況を反映した実質的な予測値はもっと悪化します。筆者の場合、ざっくりと八掛けといったところで実質は450km程度でしょう。
ただ、八掛けというのは、直近、横浜市内や東京都内を走行した行動結果を反映した予測結果であり、電費を稼げる高速道路を利用した遠出であれば、航続距離をもっと伸ばすことは経験上分かっています。普通に運転していれば、おそらく500kmは余裕で走れるものと思われます。
次の写真は、100%充電した状態で、横浜の自宅から565km先の姫路城を目的地に設定した際のModel 3のエネルギー消費予測です。バッテリー残5%で到達可能とあります。実際には走行を重ねるにつれ、予測値は変化するものと思われますが、少なくとも大阪までは無充電で到達できると思います。ちなみに、この予測グラフは、高低差、エアコン使用、外気温、風速・風向、湿度、同乗者数、タイヤ空気圧といった外的要因に関するパラメーターも考慮した結果だといわれています。
いずれにしても、1年が経過した今、バッテリーの劣化は大きく進行していないようなので、ホッと一安心です。
走るガジェットにふさわしく、Model 3にはさまざまな無線系のデバイスが装備されています。Teslaのサーバと通信したりリアルタイム交通情報を受信するLTE、ソフトウェアアップグレードに必要なWi-Fi、スマホをキーとして利用するためのBluetooth、FMラジオ、レーダー、非接触型ICカード用のアンテナなど盛りだくさんです。
例えば、Bピラーには、Bluetoothや非接触型ICカード用のアンテナが埋め込まれています。Tesla専用アプリをインストールしたスマホを保持していれば、車両に近づきドアハンドルを引くだけでロックが解除されるのは、BピラーのBluetoothアンテナがスマホの電波を拾っているからです。
しかし、スマホをパンツの後ろポケットに入れて近づくとロック解除できないことがたまにあります。これはおそらく、人体が邪魔することで、Bluetoothの電波がアンテナまで届かないことが原因ではないかとにらんでいます。
BluetoothやWi-Fiの周波数は2.4GHz帯です。これはISMバンドと称する免許不要で利用可能な周波数帯で、例えば、電子レンジもここを使用しています。この周波数は、電界により水の分子を振動させることができることから食品を加熱できるわけです。
これを逆に考えれば、この帯域は、水分が電波の飛び方に影響を与えるということを意味します。人間の身体は5割から7割程度水分が占めているという話です。つまり、スマホをパンツの後ろポケットに入れておくと、人間の身体がバリアとなってBluetoothの電波が届きにくくなっているのだと分析しています。
そういえば、以前、大規模なカンファレンスや勉強会などのイベント会場にWi-Fiネットワークを設営するプロ集団の取材をした際、アクセスポイントの設置方法を工夫しないと、入場者の多寡により電波の特性が変化する、といった話を思い出しました。
ちなみに、運転席側のサイドミラーにもWi-FiとBluetoothのアンテナが設置されているようですが、Bピラーのそれとの役割分担がどうなっているのかは分かりません。
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