クリエイターが自分のチャンネルをより人気があるように見せるために、視聴回数、登録者数、いいね数、コメント数を不正な方法で増やしていることが確認できた。
具体的には、オンライン・マーケットプレースでの購入と、登録者などを模倣するために作られたソフトウェア・ボットの活用の2つが観測された。
オンライン・マーケットプレースで購入できる場所として、SubPalsとQQTube、そしてYouTubeAboneKasとSonukErというサイトが挙げられている。
ソフトウェア・ボットは、機能(例:クリエイターにビューを生成する機能を提供するものもあれば、購読者やコメントを生成するものもある)および使用するために必要な技術能力(例:プリロードされたGoogle Chrome拡張、ユーザー提供の引数を持つPythonスクリプト)に違いがある。
例えば、ビューを生成したいアカウントのビデオIDをアプリケーションに入力すると、さまざまなIPアドレスからのコンピュータ・インスタンスを使用してこのコンテンツに対するビューを自動で収集してくれる。
悪意のあるクリエイターは、アップロードされたコンテンツを利用して、金銭的な利益を得るために外部コンテンツを宣伝したり、ユーザーの個人情報を収集したりしている。
具体的には、動画の説明文や動画メディア自体にリンクを貼り付け、YouTubeにアップロードすることで、視聴者を外部サイトにリダイレクトする。その先では、フィッシング詐欺や広告などが待ち構えており、広告収入や個人情報の収集が行われる。
悪質な事例では、映画の短いクリップをYouTubeにアップロードする。本編の長編が見たい場合はこちらとリンクを踏ませる。その先のWebサイトでは本編が見たいならアカウント登録するよう誘導される。
また、指定された映画の本編を視聴できることを約束する文章が添えられたリンクがあり、クリックするとクリック課金型のURL短縮サービスを宣伝するWebサイトに誘導される。
この悪用は海賊版コンテンツの配布も促進することが分かった。視聴者は、無許可でアップロードされた映画を含むGoogleドライブのフォルダにリダイレクトされたり、海賊版コンテンツをダウンロードするためのグループに参加するよう誘導されたりする。
コンテンツクリエイターが動画サイトからビデオコンテンツを不正にダウンロードし、編集し自分のYouTubeチャンネルにアップロードすることで個人的に収益化する悪用方法が確認できた。
YouTubeの自動著作権検出を回避するための多様なテクニックが提案されていた。例えば、ビデオクリップにロゴ、字幕、モザイク、画像、フレームを追加、またはビデオをズームさせる、ミラーリング、反転させるなどの加工を行う。6割ぐらいがフレームで残りの4割の領域だけが元の動画といった例も存在する。
このようにして、YouTubeの自動著作権検出を回避しながら、著作権者に無断でアップロードし収益を得る。
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