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クレカ不正利用額が90%減 メルカリが「3Dセキュア2.0」導入で

» 2022年09月02日 17時30分 公開
[谷井将人ITmedia]

 クレジットカードの不正利用で毎月数億円規模の被害に悩まされていたメルカリ。ところが、22年7月の被害額は21年12月の10分の1まで減少した。9月1日に開催された「フィッシング、クレジットカード不正の現状と対策を考える会」に登壇したメルカリの篠原孝明執行役員は2月に導入した「EMV-3Dセキュア」の効果について胸を張った。

photo EMV-3Dセキュアの導入で不正利用額は10分の1に

 同社は2月、不正を未然に防止するためEMV-3Dセキュアを導入した。3DセキュアはVISAやMastercard、JCBなどが推進するユーザー認証サービス。2段階認証やパスワード入力による本人確認でクレジットカード決済時の不正を防ぐための仕組みで、もし不正利用が起きた場合も、認証ができていれば加盟店側で補填する必要がない。

 しかし、VISAなどのカードブランドは「3Dセキュア2.0」とも呼ばれるEMV-3Dセキュアへの全面移行をEC事業者などに求めている。22年10月以降は従来の「3Dセキュア1.0」を使って認証してもEC事業者側が補填費用を支払わなければならなくなる。

 メルカリによると、3Dセキュア1.0には弱点もあった。決済するたびにユーザーが設定したパスワードを使って認証するため、パスワードを忘れたユーザーや入力を面倒に思ったユーザーが決済完了前に離脱してしまう可能性があったという。

 EMV-3Dセキュアは、ユーザーのデバイス情報からパスワード認証の必要性を判定し、不正利用のリスクが高い場合のみパスワードの入力を求める仕組み。使うのはユーザーが設定したものではなくワンタイムパスワードなので忘れることもない。決済中の離脱リスクを抑えながら認証ができる構造になっている。

 メルカリによると、EMV-3Dセキュア導入後の離脱率は2%前後。不正利用額は9割減らすことに成功した。同社の調査で、不正ユーザーはアプリを対策実施前のバージョンにダウングレードしたり、カードブランドを変更したりとEMV-3Dセキュアを回避しようとする動きがみられたという。

photo メルカリはEMV-3Dセキュアを導入

 「不正ユーザーの動きからも3Dセキュアを本当に嫌がって逃げているのが見てとれ、有効性が確認できた」(篠原執行役員)

 篠原執行役員は「特定の事業者が対策しても、不正ユーザーは新しいサービスに目を向けて、同じような行為を繰り返す。業界内で情報を共有して、業界全体で不正対策を進めるのが重要」と語った。

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