今は昔よりもスマホの買い替えサイクルが長くなっている。日本の場合でも概ね3年以上/4年近くが多い。5年以上前は2年以内がもっと多かったはずだ。これは世界的な傾向である。その中で「去年のモデルとの差異」を考えると幅は小さくなるが、2年から3年前のモデルと比較して考えると、そこまで進化の幅は小さくない。
その中で基盤技術をどう進化させ、長期的ロードマップの中に位置付けるかが重要になる。
特徴的な要素が、iPhone 14/Proシリーズに搭載された写真撮影のコアエンジンである「Photonic Engine」だ。
これはハードウェアで搭載されたものではなく、iOS内にソフトウエアとして実装されたものである。ということは、OSのアップデートでiPhone 13などの過去機種にも実装できそうに思える。
だが、アップルによれば「その対応はない」という。
Photonic Engineはソフトなのだが、iPhone内での写真撮影のパイプラインを全て見直して作り直したものだという。そのため、単純にプロセッサーだけが関与するわけではなく、センサーやイメージ・シグナル・プロセッサー(ISP)など、iPhoneが搭載しているハードウエアに特化した作りになっているという。iPhone 13のために用意するには、iPhone 13のハードに合わせてインテグレーションし直す必要があるようだ。
すなわちアップルは、ハードと同じようにソフト側のエンジンについても並行して刷新し、今後のiPhoneで使うつもりなのだろう。
スマホが普及しきった今、買い替え需要は一定の数量・サイクルで回る。その中で「以前iPhoneを選んだ人が次も選ぶ」と、機能が自然と良くなっている形を志向しているのではないか……。
筆者はそんなふうに考えている。
ただ、その中で重要なのは「次にもiPhoneを選んでもらう理由」だ。価格が高くなり「もっと安いものでいい」と思われると、アップルとしては困ってしまう。
今回、日本を含めた他国は「ドル高」の影響から売価は上がっているアメリカの販売価格は去年からほぼスライドした形になった。インフレやパーツ高騰の影響もあるので、アメリカ市場向けといえども価格維持は厳しかったかもしれないが、アップルとしてもそこは死守したかったのだろう。
香港の調査会社Counterpointの調べによると、アメリカ市場でのアップルのシェアは安定的に高く、400ドル以上の「プレミアムスマートフォン」市場では、1000ドル以上の製品シェアが高まる傾向にあるという。このデータを合わせて考えると、アメリカ市場でのiPhoneは強くなっている、と考えられる。
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