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民間も“無償の土地提供”で協力 「にいがた2kmシェアサイクル」に地域が力を入れるワケ(2/3 ページ)

» 2022年10月07日 17時00分 公開
[島田純ITmedia]

中心部も民有地を無償提供 新潟のシェアサイクルの歴史や事情

にいがたレンタサイクルの高橋正良代表理事

 一般社団法人にいがたレンタサイクル代表理事、高橋正良さんは、いわゆるママチャリタイプの自転車からスポーツタイプの自転車など、これまで新潟市内で20年にわたり、さまざまな形式でシェアサイクルやレンタサイクルを手掛けてきた。

 実は、新潟市内のシェアサイクルに電動アシストタイプが導入されるのは今回が初めてではない。同市内では、2020年に電動アシスト付きのシェアサイクルを10台に限って投入していた。電動アシスト付き自転車の台数が限られることや、市内のポート数が少なかったこともあり、市内に在住の方でも見掛ける機会は少なかったかもしれませんが、市内のシェアサイクルは着々とサービスを拡大してきた。

 9月に新たにスタートした「にいがた2kmシェアサイクル」では、道路上や公共施設などの公用地と、商業施設などの民間の民有地にポートを設置していますが、このうち民有地については、新潟駅前の1カ所を除いて「ポートを設置するための土地は無償で提供してもらっている」(高橋代表理事)という。

ホテルオークラ新潟のポート

 高橋代表理事によると、新潟市内ではこれまでにも市内の数カ所に窓口を設置しレンタサイクルを提供していましたが、貸し出しや返却手続きを対人・対面で行う必要があり、貸し出し場所を増やしにくかった他、短時間の利用では申込手続きなどにかかる利用者の手間が大きく、利用者が増えにくい課題があったとしている。

従来の「にいがたレンタサイクル」の案内板 貸し出し時間や貸し出し場所に限りがあった

 それを示すように、これまで提供していたレンタサイクルでは利用者の80%以上が観光客によるもので、地域の人々の利用は低調だった。今回の「にいがた2kmシェアサイクル」では、地元民が利用する機会の多い市役所などにもポートを設置するなど、地域のニーズに合わせたサービス展開がされている。

 サービススタート時点から新潟駅前や中心部の商業施設など、利便性の高い場所にポートを設置できている背景には、過去20年にわたって市内でシェアサイクルを提供してきた同団体の取り組みが大きいといえるだろう。

新潟市役所にもポートを設置
商業施設「ラブラ万代」のポート

 筆者が新潟市を訪れたタイミングでは、市内の主要な交通手段である新潟交通の路線バスが、同社の従業員で新型コロナウイルス感染拡大によって一部運休していた。シェアサイクルを電車やバスと比べると、キャパシティー的には圧倒的に後者の方が大きいが、今回のように公共交通機関に何らかのトラブルがあった場合に、補助的な移動手段としても便利に使えるシーンがあるかもしれない。

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