米Metaが新VR機器「Meta Quest Pro」を発表した。すでに世界中で予約も始まっており、10月末には出荷される。
Metaのマーク・ザッカーバーグCEOはQuest Proを「新しい、仕事のための機器」と位置付ける。22万円を超える価格も、ゲーム機とは違う方向性を模索するための新デバイスを作るために必要なコストから生まれたものである。
同社はすでに「Meta Quest 2」を販売しているが、なぜMetaは2つのデバイスを作る必要があったのか? 少し考察してみることにしよう。
今回の「Meta Connect」は、2021年にくらべかなり落ち着いたイベントになった。去年が少し「メタバースへの期待」をかきたてすぎた部分はある。
22年はその辺、ゲーム関連事業の進展やフィットネスへの期待、開発中のアバターに関する言及など、比較的目の前に見えている話題を中心に、淡々と「いまやらなければならないこと」に集中していた印象が強い。
ただ、その中でもある意味、強く未来を見据えていたのが「Quest Pro」の発表だ。
製品ラインアップを考える時に一般的なパターンは「スタンダードなものからパーツを良いものにしてグレードを変える」ことだ。PCもスマートフォンもカメラもテレビも、基本的にはそういうパターンである。製品開発がプラットフォーム化した現在は、特にその傾向が強いかもしれない。
だが、Quest Proはちょっと違う。「Meta Quest2」と同じようなVR機器に見えて、方向性が異なるのだ。
現在のQuest 2は基本的にゲーム機であり、フィットネス機器である。VRの用途としてゲームやフィットネスを軸に据え、コミュニケーションやビジネス「にも使える」。大量に販売してプラットフォームの拡大を狙うのが主軸なので、Quest 2とその後継機がMetaのメインラインであるのは間違いないだろう。
一方で、VR機器は技術的な挑戦・検証が必要な部分も多々ある。そのためには高価な新しいデバイスやコストの高い設計が必要になる場合もあるのだが、それを、コストが重要になるマス向けのデバイスに導入するのは難しい。
この辺でだいぶ見えてきたかと思うが、Quest Proとは実質的に「次世代のデバイスに向けた先行プラットフォーム」なのだ。
だから構造はQuest 2とかなり違うし、価格も大きく異なる。「レンズを変えました」「外界確認用のカメラをカラーにしました」というレベルではない。
Metaは「Quest ProではQuest 2のアプリがそのまま動く」と明言しているが、Quest ProのプラットフォームはQuest 2とは異なるのもので、単純な高性能版にはなっていないようだ。
だからMetaは「Quest ProはQuest 2の後継ではない」としているし、「Quest 2の路線はそのまま継続する」と明確にアナウンスしているのだ。
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