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「食べられるデータ」食品内部に埋め込み フード3Dプリンタで 阪大

» 2022年10月18日 09時51分 公開
[岡田有花ITmedia]

 大阪大学は、フード3Dプリンタを用いてクッキーなどの食品内部に2次元コードなどを表現することで、見かけを変えずに“食べられるデータ”を埋め込めることを実証したと、10月17日に発表した。

 材料などのデータを食品内部に埋め込めむことで、食品トレーサビリティを向上させたり、拡張現実感と組み合わせた新たな食体験を開拓したりできると期待する。

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 フード3Dプリンタは、ペースト状の食材を細い射出口から押し出し、一層ずつ積み上げていくことで、食品を3次元的に「印刷」する装置。食品内部に複数の食材を自由に配置したり、内部に空間を空けたりするといったことが可能だ。

 今回、フード3Dプリンタを使ってクッキーを作成する際、内部の特定の位置に異なる色の生地を配置したり、空間をあけておいたりすることで、2次元コードやARマーカーなどの空間コードを形成する技術を開発した。

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 生地を焼いても内部のパターンが見えず、食感や強度に大きく影響しない構造設計技術も確立したという。

 コードの読み出しは、背面から光を照射し、浮かび上がったコードをカメラで撮影することで実現。食品内部での光の散乱を、撮影後の計算で除去する技術も確立した。

 豚肉ミンチを用いた場合でも同様に空間コードを形成できることも確認したという。

 この技術を活用し、賞味期限や含有アレルゲンといった情報を、包装から出した後も確認できるようにしたり、クッキーのデータとIoTコーヒーメーカーを組み合わせ、クッキーを美味しく味わうのに最適な温度と濃さでコーヒーを自動抽出したり――――といった活用法を想定する。

 研究成果は、10月29日に米オレゴン州で開かれる「ACM Symposium on User Interface Software and Technology」で発表する。

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