そもそも、アップルはなぜこのような仕様にしたのだろうか?
最大の原因は、充電用のマグネットが付くはずの本体長辺の上側にFaceTime用カメラが内蔵されたことにある。そう、iPad(第10世代)は、iPadの中で初めて、横置きでFaceTimeをすることを想定した端末なのである。
もともと、iPadのFaceTimeは縦に持って家族と会話するようなイメージで設計されていた。
しかしコロナ禍以降、ビデオ会議の増加により、キーボードを接続した横置きの状態で使うが増えたのだろう。おそらくAppleは端末から得られる情報で、そのことを知ったのではないだろうか?
従来の短辺にFaceTimeカメラがある仕様だと、横置きにしてビデオ会議に出ると、目線は常にセンターからズレたような状態になる。このことを問題視する声もあった。そこで、アップルはApple Pencilを第2世代にすることよりも、横置き状態でFaceTimeカメラを長辺の中央に配置することを選んだ=位置的に干渉する無接点充電の機構を避けたというわけだ。
しかし、ここでもうひとつ疑問が浮かぶ。
それをいうなら、iPad AirやiPad Proだって、横置きでビデオ会議することが多いのではないだろうか。とはいえ、次期モデルで第1世代のApple Pencil対応になるとは思えない。いや……まさか?(汗)
メリットもある。旧iPadから買い替えた人は第1世代のApple Pencilから買い替えずに済むのだ。スタンダードモデルのiPadは文教用として使われることも多いから、学校でApple Pencilを大量導入しているケースもある。それを継続使用できるのはメリットだし、そもそも第2世代より第1世代の方が5000円安い。
いずれにせよ、少々奇妙な仕様に思えるが、実際に使ってみると別に問題のない体験だったことはご報告しておきたい。
端末仕様は見事にiPad Air(第5世代)とiPad(第9世代)の中間的なもの。画面サイズは10.9インチ、解像度は2360×1640ピクセルというのはiPad Airと同じだが、フルラミネーションディスプレイや、P3色域がサポートされないのはiPad(第9世代)と同じ。
カメラは1200万画素、Touch IDは電源ボタンに内蔵されており、コネクターはUSB-CというのもiPad Airゆずり。チップセットはiPad(第9世代)より1世代進化してiPhone 12シリーズに搭載されていたA14 Bionic。
つまりは、順当にiPad(第9世代)がiPad Airのフォルムで新型になった……というものだと考えていい。
しかし、それにしては6万8800円からという価格は厳しい。特に小中学校への導入など文教用としては高価だと言わざるを得ない。学校の大量導入などの場合、すでに来年度分は予算化されているだろうから、今回の価格設定に困っている学校も多いだろう。そのためか、Appleは第9世代も併売している(価格は4万9800円)。
ちなみにUSでも、第9世代は329ドル、第10世代は449ドルなので、まだ少々差がある。何年かして、このスクエアデザインのモデルを329ドルで売れるようになるまで、文教用などのためにも、第9世代の併売は続くのではないだろうか?
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