脳に直接情報を送り込むのは現状難しい。VR空間内での感覚をフィードバックする技術としては外部デバイスを使って肌などを刺激する方法が模索されている。
いわゆる触覚デバイスはすでにさまざまな研究機関で開発されている。「振動させる」「グローブで刺激する」「風を噴射する」「超音波を当てる」など、さまざまなアプローチで触覚の再現を目指している。
最も身近な例は任天堂「Nintendo Switch」の「joy-con」だろう。内蔵する振動モーターを使って手に振動を与えることで、ゲーム内の刺激を一部再現できる。
触覚グローブはさまざまな企業で開発されている。米Metaは「将来メタバースに触覚をもたらす」としてデバイスの開発を進めている。掌の部分にセンサーとアクチュエータをちりばめ、触覚を再現する。
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台湾大学とお茶の水大学のチームが開発したシステムでは、VRコントローラーの先端にエアジェットを搭載。VR空間内の衝撃波などを再現する。
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米カーネギーメロン大学のチームが開発したシステムでは、VRヘッドセットに超音波を局所的に照射できるデバイスを搭載。唇や口内に触覚を提示する。口の中に液体が入ってくる、煙草を吸う、歯ブラシで歯を磨く、昆虫が唇の上を歩くといった感覚を再現できるという。
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変わり種としては東京大学のチームが開発したシステムがある。これはヘッドフォンの耳当て部分に温度調節用のペルチェ素子を搭載。音声と温度を操作して「耳が風に吹かれる」感覚を与える。これは「クロスモーダル効果」を使ったもの。風に吹かれる音声と熱を与えることで、耳を吹かれているように錯覚させる仕組みだ。
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