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“SAO発売日”到来 現実は「ナーヴギア」にどれだけ近づいたか(3/3 ページ)

» 2022年10月31日 14時20分 公開
[谷井将人ITmedia]
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味覚再現の権威・宮下芳明教授

 味覚や嗅覚を再現するデバイスもさまざまだ。明治大学の宮下芳明教授が開発した「Norimaki Synthesizer」は、棒状のデバイス。5種類の味を再現する電解質を固めたゲルを搭載し、ゲル内部のイオンを舌に移動させることで味覚を合成する。

 宮下教授はディスプレイに映った料理の味を再現して出力できる「Taste The TV」も開発。味の元となるエキスを詰めたカートリッジを使い、料理の味を印刷するように再現する。

photo 「Taste The TV」 エキスを噴射したシートをモニターにかぶせている

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 また、減塩食をしょっぱく感じさせる箸型デバイスも開発している。舌に電気刺激を与えることで、感じる塩味を1.5倍に増強できるという。

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 ソニーは嗅覚デバイスを新規事業化。22年10月に嗅覚測定用の製品「NOS-DX1000」を公開した。匂いの元を詰めたカートリッジを使って「シナモンやカラメルのような甘い匂い」と「桃のような甘い匂い」「汗や納豆のような汗臭い匂い」などを再現できる。医療機関での嗅覚測定用に23年に提供予定。

ナーヴギアの登場でIT業界も激変?

 このように、人間の五感を再現するには、今のところさまざまな外部デバイスが必要だ。いずれも脳に直接情報を与えるのではなく、各感覚器に刺激を与えることで五感を再現している。

 ナーヴギアの実現には、脳と情報のやりとりができる非接触型のデバイスと、脳内の信号を情報として正確にエンコード・デコードする技術、実際の体との情報のやりとりを遮断する仕組みが必要そうだ。

 余談だが、ナーヴギアがプレイヤーの生命活動を停止させる基準は3通りある。ゲーム内での死亡やナーヴギアの取り外しの他に、通信や電源が一定時間遮断されることだ。もしナーヴギアが実用化された場合には、長時間の通信障害が今まで以上に糾弾され、非常電源の需要が爆増するだろう。外部から不正に操作されると命の危険もあるため、ナーヴギア向けの情報セキュリティ製品は大ヒットするかもしれない。

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