ゲーム制作を手掛けるアーガスは10月31日、新作VRMMORPG「ソードアート・オンライン」(SAO)を発売した。同作は「フルダイブ技術」を活用し、触覚や味覚も含めた五感全てを使ってVR空間を探索できるゲーム。プレイには最先端VR機器「ナーヴギア」が必要。
──というのが、川原礫さんのライトノベル「ソードアート・オンライン」(電撃文庫刊)の基本となる設定だ。もちろんフィクションであり、実在はしない。2009年に出版された同作は、ライトノベルというジャンルにおける金字塔の一つともいえる名作。シリーズ累計発行部数は全世界で3000万部を超えるともいわれる。
同作に登場するナーヴギアはヘルメット型の家庭用VRデバイスで、微弱な電磁パルスを脳に与えることでVR空間での五感の情報を再現する。SAOでは、ゲーム内で死亡したり、無理やり取り外そうとすると脳に強力な電磁パルスを与えてプレイヤーの生命活動を停止させるデスゲーム用デバイスとしても使われる。
本記事では、現実に存在するテクノロジーやデバイスが、SAOにどのくらい近づいているかを見ていく。
ナーヴギアは、脳と直接信号をやりとりするデバイス。まず思い出されるのはイーロン・マスク氏が設立した米Neuralinkだ。ちょうど、米国時間10月31日には開発進捗を発表する予定。
同社が開発するBMI(Brain Machine Interface:脳マシンインタフェース)は、脳に小さな電極を埋め込み、神経細胞の活動電位を直接読み出し、外部に情報として伝えるデバイス。脳で考えるだけでコンピュータに直接文字を入力できるシステムの開発を目指している。
2021年にはサルを使った実証実験の様子を公開。手を使わずにゲームをプレイできたと明らかにした。
ナーヴギアは電極の埋め込みが不要で、考えるだけでアバターを自分の体のように動かしていた。
逆に脳に電磁パルスを与えることで脳の働きを制御する技術も存在する。うつ病治療法の「TMS治療」は、脳に刺激を与えて活性化する治療法。五感の細かい情報をインプットすることはできない。
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