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“ジェット噴射”で衝撃与えるVRコントローラー 台湾大学とお茶大「JetController」開発Innovative Tech(1/2 ページ)

» 2021年08月25日 08時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 台湾大学とお茶の水女子大学の研究チームが開発した「JetController」は、圧縮空気を利用した“ジェット噴射”でVRコントローラーを持っているプレイヤーにフォースフィードバックを与える装置だ。振動モーターやプロペラを使う従来方式と比べ、銃の発砲のような高い衝撃を瞬発的に生成できる。

photo JetControllerをViveコントローラーに取り付けて使用している様子

 振動モーターは、触覚フィードバックを提供するための方法として、古くからコントローラーに組み込まれてきたが、方向性が限られているため、表現の幅には限界がある。

 今回は、複数の圧縮空気が噴射するエアノズルをVRコントローラーと組み合わせることで、振動やプロペラでは表現できない3自由度で衝撃波のような触覚フィードバックを再現する。

 空気を噴射するエアノズルは、垂直方向に2つ、水平方向に3つで構成。垂直方向は上向きと下向き。水平方向は、プレイヤーに噴射した空気が当たらないように、120度の間隔で3方向に設定。VRコントローラーを除いたデバイスの重量は158g、体積は997立方cmで、プロペラと比較して77%の軽量化と89%のコンパクト化を実現しているという。

photo プレイヤーがJetControllerを持ったときの上面模式図。噴射した空気がプレイヤーに当たらない設計
photo 力の大きさを制御する4つの圧力調整器と、力の方向を制御する5つの電磁弁が、VRコントローラーに搭載した5つのエアノズルに接続しているシステム構成図

 しかし、圧縮空気を供給するエアコンプレッサーは大きく重たいため、バックパックに収納し背負ってプレイするスタイルになる。重量は4.8kg。

photo 高圧空気タンクを使用し、バックパックに収納したモバイル型プロトタイプ

 その分、圧縮空気が噴射するパワーは大きい。装置は高速空圧ソレノイドバルブを使用し、4.0〜1.0Nで20〜50Hzの周波数に対応し、プロペラの10倍以上の速度を実現しているという。

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