「AIで大作家」の時代到来か――デジタルメディア研究所(代表:「ロッキング・オン」創刊メンバーの橘川幸夫氏)はこのほど、AI文章生成サービス「AIのべりすと」を使った初の文学賞「AIのべりすと文学賞」の受賞作を発表した。SF作家の高島雄哉氏が、AIがアート界を支配する近未来を描いた「798ゴーストオークション」が大賞に選ばれた。
AIのべりすとは、クリエイターのSta氏がGoogleのツール(TPU Research Cloud)も活用して開発したAI小説生成ツール。数行の文章を入力するだけで、続きの文章をAIが自動生成する。2021年にサービスを開始し、登録ユーザーは30万人を超えているという。
文学賞は、2022年2〜6月に募集。10代から70代まで幅広い世代から、389作品の応募があったという。応募された作品を、「AR三兄弟」の川田十夢さんや、アニメプロデューサーの竹内宏彰さん、作家の田口ランディさんなどが審査し、大賞(賞金50万円など)と4つの各賞(賞金10万円など)を決めた。
大賞の「798ゴーストオークション」は、「基本的な文章力を土台にAI技術による文書生成システムを見事に使いこなしており、これからの時代の新しい文学の可能性の扉を開けるものとなった」と評価された。
各賞には、小説だけでなく短歌も選ばれた。受賞作は「AIのべりすと文学賞 作品集」として書籍化する計画だ。
「AIのべりすと」開発者のSta氏は今回の賞について、「“AIに仕事を取られるかも”とか“AIに負けるかも”という恐怖ではなく、“AIを活用して大作家になった“とか“AIのおかげで創作が苦でなくなった”という実際の成功体験がこれから次々に出てくるはず。その最初の触媒のひとつがAIのべりすと文学賞なのだと思う」とコメントしている。
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