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「LINE PayがPayPayに吸収される」は誤解 LINE Payはどこへ向かう?(1/2 ページ)

» 2022年11月30日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 LINEとZホールディングス(ZHD)の経営統合によって、広く伝わったのは「LINE PayとPayPayが統合する」という話だ。ここからはLINE PayがPayPayに吸収されて一本化するというイメージを持つ。しかし、これは実態とは異なる誤解だとLINE Pay事業開発室の佐野真人室長は話す。

 「LINE Payはサービスを継続していく。コード決済の統合とは、LINE PayのユーザーがPayPayの加盟店で利用できるようになるという意味だ。実態として、LINE Payは単体でサービスを提供している」 

 PayPayとは別の道を行くLINE Pay。いったいどこへ向かおうとしているのか。

LINE Payはどこへ向かう?

PayPayとLINE Pay統合とは言ったものの

 ことの発端となったのは、ZHDとLINEの経営統合が完了した2021年3月1日に開かれた事業戦略説明会だ。ZHDの川辺健太郎社長Co-CEOは、国内のQR・バーコード決済をPayPayへ統合すると打ち出し、LINE Payはアジア主要国を中心にグローバルでの発展を目指すとした。

2021年3月に開かれたZHDとLINEの経営統合発表の場では、PayPayとLINE Pay統合と発表された

 統合の第一弾となるのが、店頭のバーコードを読み取って決済する「ユーザースキャン方式」の加盟店の乗り入れだ。21年8月17日から、PayPay加盟店でLINE Payでの支払いが可能になった。

 経営統合からサービスも統合し、決済だけでなく金融領域で国内トップを目指すのかと思われたLINEとPayPayだが、その後の進展は乏しい。3月1日にはLINEとPayPay、Yahoo!のポイントプログラムについて「統合予定」だとした。しかし統合が完了したのはPayPayとYahoo!のポイントだけだ。LINEポイントについては、PayPayポイントへの交換にとどまっている。

ポイントプログラムの統合はなくなったわけではなく、2022年以降の事業再編計画に予定として盛り込まれている(ZHD22年第2四半期決算説明資料より)

 ZHD側も「サービスの統合というのは、1つにするという意味ではなく、サービスの連携を深めていくという意味」(ZHD広報)だと話す。21年11月に行った決算説明では「残高や会社の統合は行わない」と明言している。

半年後の決算説明では「統合というのは連携である」とトーンダウンした

 開業が迫っているLINE銀行についても「ユーザーへの総リーチが重要だ。LINE上でのユーザー体験を最適化したLINE銀行では、ユーザー体験を棲み分け、(PayPay銀行を)補完していきたい」と川辺氏は決算会見で話した。証券にしても「PayPay証券とLINE証券は、ユーザー属性や商品が違う。棲み分けができる」(出澤剛Co-CEO)という。

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