米ローレンス・リバモア国立研究所は12月13日(現地時間)、5日に行った制御核融合実験で、核融合を起こすために使うレーザーエネルギーよりも多いエネルギーの生成(核融合点火)に初めて成功したと発表した。「クリーンな核融合エネルギーの見通しに関する非常に貴重な洞察を提供する」としている。
核融合でエネルギーを生成できれば、化石燃料の燃焼による温室効果ガスや原発の危険性から解放される可能性がある。
この実験では、研究所に設置された施設の192個の巨大なレーザーでダイヤモンドで包んだ凍結水素を含む小さなシリンダーを爆破した。
1秒の100兆分の1未満の間に2.05メガジュールのエネルギーが水素シリンダーに衝突することで、核融合の生成分である中性粒子が流出し、約3メガジュールのエネルギーを生成した。だが、レーザーパルス生成のためにエネルギーを消費したため、使ったエネルギーの約1.5倍のエネルギーを生成できたことになるとしている。
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同研究所はこの実験成功を目指し、1997年に施設の建設を始め、2009年から運用している。米連邦政府から累計35億ドル以上が投じられた。
実験に使われた施設はスポーツスタジアムほどの大きさで、発電所のプロトタイプにはなり得ない。
同研究所のディレクター、キンバリー・ブディル氏は記者会見で、核融合の実用化には「おそらく数十年」かかると語った。それでも60年はかからず、「基礎となる技術に関する研究に数十年かければ、核融合発電所を建設できるようになるだろう」と語った。
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