シリコンバレーのIT企業に勤務する五島正浩さんが見た現地のテック動向を紹介する連載「シリコンバレーから見た風景」。第22回は、米国のIT企業を中心に増えているレイオフと、その対象になった場合に必要な心がけを紹介します。
こんにちは。昔私がまだ日本で生活していた頃、シリコンバレーで働くエンジニアの方から「シリコンバレーは外洋のように荒波だから覚悟をしてきた方がいいよ」と言われたことがあります。その当時は、海外で働くというのは大変なことなんだなぁと、漠然と頭の中でわかったつもりになっていました。しかし、実際にシリコンバレーに移住して働き始めると、この言葉の意味するところが徐々に理解できるようになってきました。特に最近のレイオフのニュースを見ると痛感します。
今回はシリコンバレーで働くエンジニアを不安にさせるレイオフについて取り上げたいと思います。
今年は変動が大きい年だと思います。春頃はコロナ禍が落ち着き経済再開ということで求人が一気に増えました。「大量離職(Great Resignation)」と呼ばれ、心機一転して新しいことにチャレンジしたい人たちが次々と転職していきました。完全な売り手市場だったため、より高い給料を求めて転職する人も。出ていく人も多ければ、新たに入ってくる人も多く、経済活動が活発になった印象を受けました。
しかし、しばらくすると物価の上昇が社会問題となり、それを抑えるために金利を上げるという事態に。投資を抑えるので景気後退の懸念が高まり、夏頃には打って変わって「採用凍結(Hiring Freeze)」を始める会社が増えました。景気の先行きが見えないので一旦様子をみようということでしょうか。突然エンジニアの採用が止まると、チームを増強できなくなり開発計画の見直しなどの影響が出ることもあります。なんだか雲行きが怪しくなってきた感じがしました。
そして11月に入ると連日のようにテック企業のレイオフが報じられました。レイオフのダッシュボードを提供しているlayoffs.fyiによると、ベイエリアではMetaが1万1000人、Twitterが3700人、そしてStripeも1000人規模の実施を発表しているとのこと。またシアトルに本社があるAmazonも大規模なレイオフを予定しており、シリコンバレーの開発拠点でも実際にレイオフが始まっています。この波はまだまだ続くのでしょうか、自分の身はどうなるのでしょうか、不安が募ります。
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