「AI自動音声でお伝えしています」
ある朝のNHK「おはよう日本」の画面。ニュース映像の右上に、こんな文字が表示されれていて驚いた。音声に違和感がなく、人間のアナウンサーの声だとばかり思っていたからだ。
意識してよく聞けば、イントネーションや“間”がやや不自然だが、流し聞きしているだけでは分からないレベルだ。
場面がスタジオに転換すると、人間のアナウンサーが2人写った。アナウンサーがそこにいるのに、AIがニュースを読んでいたのだ。
「おはよう日本」だけではない。NHKは、平日午後のニュース、ラジオ、Webのニュース番組の一部などでAIによるアナウンスを活用している。
AIアナウンスはどのように作られたのか? 人間のアナがいるのに、なぜわざわざ、AIにニュースを読んでもらうのか? NHKに聞いた。
AIアナウンスの音声は、NHKが開発した技術だ。気象情報やニュースなどの原稿を、NHKアナウンサーに読んでもらったデータをディープラーニングで学習。放送音声から学習データを自動抽出して学習することもできる。
AIシステムに原稿と放送時間を入力すれば、ぴったりの長さで原稿を読める。ニュース調・会話調など話し方に変化をつけることも可能。イントネーションや間合いは、手作業で微調整できる。
NHKは2018年、「ニュースのヨミ子」というキャラクターでAIアナウンスの活用を始め、19年以降、人員が限られた地方のラジオの気象情報番組にも採用するなどして実用化を進めてきた。
人間のアナウンサーの人員が割けない深夜の時間帯の台風情報や、Webニュースの読み上げなどで利用している他、「おはよう日本」をはじめとした全国放送のニュース番組でも活用。現在ではほぼ毎日(日曜日を除く)、何らかの番組でAIがニュースを伝えている。
人間のアナウンサーがいるのに、なぜAIにニュースを読ませるのだろうか? NHKの回答はこうだ。
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