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NHKに聞く「人間のアナがいるのにAIがニュースを読む」理由(2/2 ページ)

» 2022年12月16日 16時09分 公開
[岡田有花ITmedia]
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 まず、アナウンサーの人員は限られている。特に地方局では、数少ないアナウンサーに仕事が集中しているが、AIが代替できる業務はAIに任せることで、人間のアナウンサーの負担軽減・働き方改革につながる。

 例えば、早朝ニュース番組を担当するアナウンサーや編集・技術スタッフは、番組の数時間前……未明に出勤。映像に合うコメントを検討しながら、その尺に合わせて映像を編集し直す……といった準備を行っている。

 一部のニュースにAIアナを使うことで、アナウンサーの負担だけでなく、編集・技術スタッフの仕事を削減できる。彼らの出勤時間を少し遅くしたり、他の仕事に時間を充てたりできるのだ。

 一方で、人間にしかできないアナウンスは多い。急に入ってきたニュースや、リアルタイムで状況が変わる災害情報に対応したり、切迫した声で避難を呼び掛けたり、現場からリポートしたり、個人的な感想を述べたり、パネリストと対話しながら番組を進めたり……臨機応変な対応や状況を読む力、その場に行くことなどが求められる場面は、AIには任せられない。

 そもそも、テレビに映っている部分は、アナウンサーの業務全体のほんの一部だ。取材に出向いたり、番組の企画や演出、構成を考え、スタッフと議論して作り上げていったり……など、アナウンス以外の仕事も膨大にある。

 「AIアナウンスは人間の業務の一部は代替できるが、人間を代替するものではない。人間のアナウンサーの仕事はなくならない」。NHKの広報担当者はこう話している。

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