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リコー、「PENTAX」ブランドでフィルムカメラ開発検討へ まずはコンパクトカメラから

» 2022年12月20日 14時20分 公開
[山川晶之ITmedia]

 リコーイメージングは12月20日、「PENTAX」ブランドでフィルムカメラの開発検討を開始すると発表した。若年層を中心にフィルムカメラの人気が再燃しつつあり、リコーとPENTAXが長年培ってきた技術を製品として継承することで、国内外のフィルムカメラファンに新たな選択肢を提供したいとしている。

公開された動画にはフィルムカメラの内部を映しているが、これは過去発売されたモデルという

 プロジェクト名は「フィルムカメラプロジェクト」。開発にあたっては、ベテランと若い世代の技術者が一丸となって技術を継承すると同時に、新たな視点を加えられるか検討するという。また、写真家やクリエイター、フィルムカメラを好むユーザーの声を重視し、オンライン・オフラインでの各種イベント、SNSを通じたコミュニケーションを通して、製品作りに反映するという。

 公開された動画には、フィルム巻き上げレバー付近の設計図やフィルムカメラの本体内部が映し出されているが、リコーによると過去に発売されたボディであり、過去から未来への技術伝承をイメージした映像という。なお、現在試作機はなく、最初はレンズシャッターを採用したコンパクトカメラを想定しているという。同社によると「多くの支持を得られれば、ゆくゆくは一眼レフもという構想はあるが、現時点では形になっていない」としている。

動画内に映し出されたカメラ本体は、過去に発売したモデルという

なぜ今フィルムカメラを復活させるのか

 フィルムカメラを復活させる理由として同社は「若年層を中心にフィルム人気が高まりつつある」とする。ネットで「フィルムカメラ」と検索すると、多くのクリエイターや著名人、芸能人がフィルムカメラを手に取っている姿があり、現像からプリントせず、データ化してSNSにアップする若いユーザーの声も聞くという。

 同社が独自に実施したWebアンケート(国内3000人対象)によると、カメラ所有者の中で約20%がフィルムカメラを所持している(レンズ付きフィルム・インスタントカメラ除く)ことが判明したという。さらに、スマートフォンできれいな写真が撮れる時代に、あえて手間をかける楽しみを求める層に訴えたいようだ。

 一方で、新品のフィルムカメラを製造・販売するメーカーは少なく、中古市場で流通している製品にはアフターサポートの不安が残る。リコーイメージングがフィルムカメラの製造・販売からアフターサービスを担うことで、安心してフィルムカメラの世界を楽しめるとしている。

 ただし、発売が決定しているわけではない。同社代表取締役社長の赤羽昇氏は、「この度、新たな "挑戦"として、デジタルとは違った楽しみを提供するため、PENTAXブランドにて新たにフィルムカメラ開発へのチャレンジを宣言させて頂きます。この宣言は、弊社がフィルムカメラの新製品発売をお約束するものではありませんが、人が自然の空気と光に忠実である限り、フィルムカメラファンの方は必ずいらっしゃると信じているゆえの宣言です。一度終了したフィルムカメラを開発することが、どれだけ困難なことかは認識しています。我々は検討のスタートラインに立ったに過ぎません」とコメント。

 今後は、各種イベントやSNSなどを通じてファンの声を聞きながら、可能な限り開発状況のアップデートを行っていきたいとしている。

記事訂正(12月20日午後3時半)

 掲載当初、公開された動画を「開発中と思われるカメラ本体」と紹介しましたが、正しくは過去に発売されたモデルであり、動画は過去から未来への技術伝承を伝えるものだったため、表記とタイトルを修正しました。

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