10年代半ばに入ると、中国人留学生のほとんどが「代購」をやっているといわれるようになった。手段と目的が逆転し、「代購」で稼ぐために日本に留学したり、ドラッグストアや家電量販店が集積するエリアの学校に進学する学生も続出した。
日本語が流暢でない中国人にとってはとりわけ「割のいい仕事」に映るようで、アリババのECサイトで自分の店を開設し、名刺をつくって本格的に取り組むケースも少なくない。一方で、法律を逸脱した行為も多々あり、日本、中国ともに対策を迫られてきた。
14年から15年にかけては、代購で利益を上げた日本在住中国人が入管難民法違反(資格外活動)で逮捕される事件が相次いだ。京都外国語大学の中国人職員は人文知識・国際業務のビザで働いていたが、炊飯ジャーや化粧品などの代購で3年間に約1000万円の利益を得ており、ビザの範囲を超えた活動とみなされた(参考文書)。
調理人のビザで入国した中国人3人は、実際には調理の仕事をせず、花王の「メリーズ」を中心に1日最大150〜180パックの紙おむつを購入し、転売した容疑で逮捕された。
個人がスーツケースで高額の商品を大量に運んで、関税を逃れる例もあとを絶たず、16年には中国が越境ECの税制度を整備し、個人の代購に税金を科す仕組みを明確にした。同じころ日本のEMS料金も改定されたため、越境ビジネスの関係者らは「個人の代購はもうけにくくなるが、代購の組織化が進み元締めが現れるのでは」と指摘していた。
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