パナソニックが2023年2月を以て、録画用Blu-rayディスク全品番の生産を完了すると発表した。後継商品はないというから、完全撤退ということである。
ECサイトを見ても、すでに1月からパナソニック製のBlu-rayディスクは欠品が多くなっていたが、在庫があるところはこの発表を受けて価格を吊り上げるなど、混乱が広がっている。
録画用Blu-rayディスクの用途は、ほぼテレビ放送を録画・長期保存するためと言っていい。だが10年前とは違い、今となってはテレビ放送の見方も多様化している。見逃し配信はネットで行なわれ、YouTubeはすでにテレビ放送と同じぐらいの時間を費やして見るものとなり、スポーツはネットサービスのほうが網羅性が高い。こうなっては、放送を録画すると言ってもせいぜいテレビの録画機能を使ってHDDに録るか、録画機能がなければレコーダーで録るか、という格好だろう。
筆者の住むマンションにはケーブルテレビが入っているが、STBに録画機能が付いているので、そちらで録ることもある。だが以前に比べれば、どうしてもテレビ放送を見なければならないという必然性が下がっており、同時に録画ニーズも下がっている。HDDに録画できれば十分で、さらにそこからBlu-rayディスクに焼くといったモチベーションはほとんどない。というか宮崎に転居して4年、Blu-rayレコーダーがないままで暮らしている。
Blu-rayという名前を久々に聴いたという案件としては、2022年8月の「Blu-rayに補償金」騒動がある。大した議論もなく、いきなり文化庁が過渡的措置としてBlu-rayを録画補償金の対象とする方針を決め、パブリックコメントを開始した。
9月には日本維新の会の足立康史衆議院議員が文化庁宛に質問状を送り、衆議院経済産業委員会でも質問している。
パブリックコメントには2406件の意見が寄せられたとしているが、誰から、どんな団体からどんな意見があったのか、個別には公表されていない。寄せられた反対・賛成意見を56タイプに分け、反対意見に対しては文化庁が個別に反論する格好になっているが、内容的には10月5日に開催された「文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第1回)」で配布された「文化庁の考え方(案)」からのコピペだ。どれだけ市民が反対意見を寄せても、何一つ「考え方」が変わらないことを示している。
われわれ市民にできることはここまでである。10月21日には、Blu-rayレコーダーが補償金制度の対象にする政令を閣議決定した。現施行令の第一条2の四にある「波長が四百五ナノメートルのレーザー光を用いること」がBlu-ray方式のことである。
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