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「デジタル切腹」Twitterトレンドに、どういう意味? 背景には「ファイナルファンタジー」のチート騒動

» 2023年02月01日 12時25分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 2月1日、「デジタル切腹」というワードがTwitterトレンドに入った。インパクトがありつつも耳慣れないワードだが、正午時点でトレンド5位になるなど話題だ。どうやら、スクウェア・エニックスのMMORPG「ファイナルファンタジー XIV」(FF XIV)を巡る騒動から生まれた言葉らしい。

photo 2月1日正午ごろのTwitterトレンド

 Twitterの投稿から、「デジタル切腹」はゲームのキャラクターを自ら削除することを指すと分かる。実はFF XIVでは最近、日本のグループがプレイヤー間で話題を集めたものの、不正行為が発覚し、メンバーが自身のキャラクターを削除する出来事があった。

photo 絶オメガ検証戦のイメージ(公式サイトから引用)

 発端は、1月下旬に登場したFF XIVの高難易度コンテンツ「絶オメガ検証戦」だ。しばらくクリアしたプレイヤーが出ない難易度だったが、1月末に日本のグループがSNSで攻略を報告。FF XIVのプレイヤー間には、高難易度コンテンツの世界初クリアを目指す文化が存在することもあって、話題を集めた。

 しかしその後、プレイ動画が動画投稿サイトで拡散されると、攻略の方法にある疑惑が持ち上がった。映像は通常のプレイでは実現不可能な視点からのもので、「ズームハック」などと呼ばれる外部ツールを利用していた可能性があった。

 FF XIVは、規約で外部ツールの利用を全て禁止している。使用が確認された場合は、アカウントの一時停止や、永久停止といった対応を取るとしている。いわゆる「チート」(不正行為)の扱いだ。

 問題の発覚後、グループのメンバーを名乗る人物が、SNSで謝罪文を投稿。別メンバーに外部ツールを利用させ、ゲームの全容を把握しながら指示出しをしてもらっていたと明かした。謝罪した人物や過去に参加していたグループメンバーの一部は、キャラクターの削除やプレイを停止する方針も示した。

 謝罪の話題は日本のプレイヤーだけでなく、海外プレイヤーや、運営側まで広まった。中には、キャラクターの削除を「Digital Seppuku」と表現する人も。これが日本人プレイヤーにも広がり「デジタル切腹」になったとみられる。「インターネット上で責任を取る」ニュアンスが分かりやすく、話題になっているようだ。

 一方運営側では、FF XIVのプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹さんが、公式サイトでコメントを発表。現在、実際に外部ツールの利用があったか調査中で、事実を確認できた場合にはペナルティーを課す方針を明かした。さらに「今回、外部ツール不正使用が調査によって明らかになった場合、少なくとも僕は、当該チームをワールドファーストチームとは認めません」と表明している。

デジタル切腹、実はもっと昔からある?

 ただ、オリジナルの「Digital Seppuku」は、今回の話題より前から使われていた形跡がある。Twitterの投稿をさかのぼると、少なくとも2009年には「Digital Seppuku」を使った英語の投稿が確認できる。

 記者が確認できた限りで最も古いのは「呪われた外付けハードディスクが私にデジタル切腹を迫る前に、データを保存しなければいけない」といった趣旨の投稿だった。

 文脈が分からないので、当時の正しいニュアンスは不明だが「デジタルな要因(データ消失か)によって迫られる切腹(破滅や自爆)」といった意味合いのようだ。もしかすると、すでに海外ネットユーザーには知られた言い回しで、今回の騒動により日本人に認知されたのかもしれない。

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