ファイル転送ソフト「HULFT」などを提供するセゾン情報システムズは2月9日、クラウド型データ連携プラットフォーム「HULFT Square」の提供を開始した。同社の葉山誠社長は「当社のデータプラットフォーム事業の中核として今後取り組んでいく」と意気込みを語る。
HULFT Squareは、複数の環境に分散しているシステムを統合するiPaaSプラットフォームサービス。セゾン情報システムズはその特徴について「高度なセキュリティで安全に、かつクラウド同士・オンプレミス/クラウド間などのデータ連携の容易さである」とアピールしている。10月以降には米国やカナダ、欧州など国外でも提供予定。料金プランは3種類用意し、月額24万円から提供する。
HULFT Squareの開発を担当した有馬三郎氏(執行役員DevOps副統括兼NH2024プロジェクト担当)は「SaaSを利用、連携してアジャイルでDXに取り組む顧客は日々増加している。一方、企業のビジネス部門がSaaSを独自導入したことで、ガバナンスが低下する問題も発生していると思う。セキュリティの問題や、安いと思っていたSaaSが実は安くなかったなど。これらの問題に対し、HULFT Squareを提案して解決を図りたい」と語る。
葉山社長は「当社では2019年からデータプラットフォーム事業を展開しており、現状では20億円規模の事業になっている。今後は、データプラットフォーム事業を中心において事業を拡大していく。HULFT Squareはその中核としてリリースする」と話す。
販売目標については今後4年間で500社、100億円の売り上げを目指す。葉山社長は「各業界に向けた特化型パッケージの展開も考えており、HULFT Squareの関連サービスも含めて販売目標を達成したい」と説明。企業規模は問わずに展開したい考えとしつつ、まずは年商500億円以上の企業をターゲットにする方針。
HULFT Squareでは主に6つの特徴として「スモールスタート」「ITフレンドリー」「グローバルで利用可能」「ユニバーサルリンク」「ユーザーフレンドリーな操作性」「安全安心なサポート体制」があるという。特に「スモールスタート」「ITフレンドリー」には力を注いでいると同社の取締役事業推進管掌兼上席執行役員DIビジネス統括の石田誠司氏は話す。
「『DXはデジタル人材だ』『アプリケーションとシステムを全部統合するんだ』というのは、振りかぶりすぎ。もっとスモールスタートで『DXとはこんなもの』『データ活用でこんな分析ができる』など1〜2日で手応えを感じられるサービスを提供したい。それらに慣れてきたら、スケールアップできるサービスに仕上げている」(石田氏)
HULFT Squareでは部門内のSaaS連携などからスモールスタートし、データ連携基盤として成長させていくという運用ができる。そのため状況に合わせて機能をトッピングしていくイメージで機能拡張が可能。サービス料金は月額基本料金に、追加した機能分の料金をプラスする形で提供するという。
また、HULFT SquareがIT担当の負担を軽減できるサービスであり、最新のITトレンドを取り込んでいるともアピールする。「内製化支援ということを当社ではうたっていきたい。DXとは内製化が整って初めて成長するもので、ベンダーログインであることはわれわれは望んでいない。ITフレンドリーにノーコード・ローコードでサービス提供したい」と石田氏は説明する。
企業のデータ活用を取り巻く環境について石田氏は「どこから手を付けていいか、まずそこが分からないという声を聞く」と指摘。「われわれとしては、分析基盤から得られた気付き、インサイトなどのつなぎ方を提案して、“データ分析とはこういうこと”と示したい。何ができるか1つ1つ分かっていくことで、リテラシーや文化は醸成されていくと思っている」とスモールスタートの重要性を説いた。
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